作品を象徴する“最後の答え”…テーマ曲に込める覚悟

『キャスター』でも大きな柱となっているのが、テーマ曲の存在だ。だが、木村氏はこのテーマ曲に対して、かつて“苦手意識”を持っていたという。
「昔はテーマ曲が一番得意じゃなかったです。正直あんまり好きじゃなかったというか。作品のカラーを出さないといけない、“もっとキャッチーに”とか“わかりやすくして”って言われると、すごく窮屈に感じていました」
しかし、経験を重ねる中で、その印象は変わっていった。
「あとから振り返ってみると、やっぱり一番残っているのってテーマ曲なんですよね。劇中の曲じゃなくて、主題みたいな曲を思い出す。だから、メロディーがしっかり残るものを作りたいなと。窮屈に感じていたのはボキャブラリーが少なかったんだなと思っています」

制作においてはまず、日常や登場人物の心情にあったサイドの曲から取り掛かるという木村氏。音楽の“まとめ役”であるテーマ曲だからこそ、全体の質感をつかんでから制作に挑むのがルーティンだ。
「最初からテーマ曲を作るんじゃなくて、先に全体の世界観をある程度固めて、どの曲よりも強い曲としてテーマ曲を練っていく、その上に乗る一番強い曲を最後に仕上げる。今はそれが自分の中で1つのやり方として確立されてきたかなという感覚はあります」