その一方で、この金額が裁判でそのまま認められるかは否定的でした。

澤野順彦さん:
「当事者双方の事情を考えて今までの歴史的な経緯を考え、本当に常識的にこの辺がよいのではないかと落ち着くところに落ち着かなければいけない」
「(鑑定が)6億なら6億と出る。でも実際に払っているのは3億と。3億から6億にあげてよいかというとそうではない」

しかし県は澤野さんの意見書を参考資料にとどめて正式に採用せず「契約は無効で賃料は20億円が相当」として富士急行に損害賠償を求めました。

東京高裁 2023年

この裁判は県側が全面敗訴。

20億円が相当という鑑定をした鑑定士は日本不動産鑑定士協会連合会が「きわめて恣意的な評価を行った」「著しく適正を欠く」と指摘し、会員の権利停止3か月の懲戒処分を行いました。

澤野順彦さん:
「あれは考える余地がないくらい出してはいけない数字ですよね」
「(契約が)無効という(県の)主張も正しいのだと思ってしまったところが、合理的な裁量を欠いていたかなと」