ひめゆりの塔に関する発言について謝罪・撤回した西田参院議員ですが、今回の発言の何が問題だったのかー
RBCは、およそ40分に及ぶ西田議員の講演をひめゆり平和祈念資料館の普天間館長に見てもらい、改めて話を聞きました。
▽西田昌司参院議員(今月3日)
「今はどうか知りませんけど、ひどいですね。ひめゆりの塔で、亡くなった女学生の方々がたくさんおられるが、あの説明のしぶりを見ていると、要するに日本軍がどんどん入ってきて、ひめゆり隊が死ぬことになっちゃったと。そして、アメリカが入ってきて、沖縄が解放されたと」
今月3日のシンポジウムで、ひめゆりの塔を訪れた際に目にしたとする展示内容に触れ、「歴史が書き換えられた」などと持論を展開した自民党の西田昌司参院議員。
RBCでは、およそ40分に及ぶ西田参院議員の講演をひめゆり平和祈念資料館の普天間朝佳館長に見てもらいました。

時折、メモを取りながら西田議員の発言に耳を傾ける普天間館長。
▽ひめゆり平和祈念資料館・普天間朝佳館長
「言ってますね」
(率直に見終えた感想は?)
「やっぱりひめゆりの塔、資料館について間接的にしか知らなったが、映像の記録として聞いて本当に言っているんだなと思いました」

普天間館長が、特に気になった部分として上げたのは、西田議員の「アメリカ軍に解放された」という発言でした。
▽ひめゆり平和祈念資料館・普天間朝佳館長
「こういう記述や表現は一切ございませんし、確かに収容されるときに生き残った学徒たち、沖縄県民の証言にもよく出てくるが、(米軍に)いざ捕まってみたら治療をしてもらったり、食事や水を与えてもらったりというような実際に体験したことが確かに証言で書かれているが、それは沖縄戦の実相のひとつであって、でもだからと言ってそれが『米軍に解放された』というのは、(西田議員は)印象だと言っていたが、館として言っていないですし、実際に米軍は沖縄戦のなかで女性を暴行したりとか民間人も無差別に射殺・爆撃したりという事実もありますので、『解放している』という認識はこれまでも今もない」

一方、西田議員が、自身の発言に関する報道を「切り取り」だと主張している点については―
▽ひめゆり平和祈念資料館・普天間朝佳館長
「“切り取られた”という意味では切り取ってはいるんですよね。でも切り取ったものがいいように持っていくためではなくて、沖縄、そしてひめゆりの問題を考えるために、そこを焦点化してみんなで考えようと材料にしてくれたという風に映像を見ても思いました」
(西田議員の発言を編集して伝えているという風には感じていない?)
▽ひめゆり平和祈念資料館・普天間朝佳館長
「まったくそうですね。その部分が私たちが今まで(報道で)把握している部分と同じですので、それは改編もされていないし、その部分を考える材料としては、まさに彼が言っていることだと思いました」

普天間館長は、西田議員に対し「戦争体験者の証言に真摯に向き合ってほしい」と訴えました。
▽ひめゆり平和祈念資料館・普天間朝佳館長
「沖縄戦というのは、今まとめているような簡単な認識ではないと思うんですね、様々な実相があると思う。私たちのひめゆり平和祈念資料館も、摩文仁にある県の資料館も(戦争で)人間が人間でなくなってしまう実相を伝えている。これまでも伝えてきたし、今も伝えていると思う」「特に(戦争を)体験された方々が残された記録などに誠実に真摯に今後向き合っていただけたらいいなと思っています」
