「ウクライナ人の89%がトランプ氏を信頼しない」ウクライナの不信感と複雑な国内事情

一方、ウクライナ側のトランプ大統領に対する不信感は根強い。ウクライナのシンクタンクが4月に行った調査では、「ウクライナ人の89%がトランプ氏を信頼しない」と回答したという。この数字は、トランプ大統領就任前の昨年11月の調査(47%)から倍増している。

不信感の背景には、トランプ大統領のロシア寄りの発言が影響している。外務省担当記者は「トランプ大統領はロシアに侵略者という表現を使わなかったり、ロシアが『ウクライナのNATO加盟を認めない』と言ったことに対して『いいよ、それで』と勝手に承諾したりと、ウクライナを軽視する言動が目立っていた」と話す。

ただし、ウクライナ国民の中でも意見は分かれている。ウクライナの人々を継続的に取材してきた記者は「自分の国のことは自分たちで決めたいという人もいれば、これ以上命が失われるよりはどこかの国に仲介してもらって交渉を進めていくのも重要だ考える人もいる」という。

また、ウクライナ国内では戦争の長期化に伴い、停戦条件に対する考え方にも変化が見られる。2022年5月時点では82%が「領土を放棄すべきではない」と答えていたが、今年2月の調査では50%まで低下している。「日々の生活が穏やかになってほしい」という思いが強まる一方で、「これまでロシアがウクライナに対してしてきたことを考えると、すぐに譲歩できない」という声もあり、国民の意見は分かれている。