カーブの走り方はスピードスケートと同じ

筑波大の谷川聡監督(52)によれば大学1年時のケガ以降、鵜澤は極限までスピードを出していない。鵜澤はもともと、右脚を上手く使ってカーブのスピードを上げられる選手だった。それが左脚の肉離れをしたことで、右脚の使い方も以前ほどできなくなり、昨年までは200m前半のカーブを抑えるような走りになっていた。ケガをする前は、前半も速く走ることができていた。「右脚でしっかり走るタイプでした。そこがわかった上で、左脚も使える走り方でしたね」

200mを50m4区間に分けると、一番スピードが出ているのは50mから100mだ。直線でさらに加速することは難しいが、カーブでスピードを上げておけば、直線で多少落ちたとしても高いスピードを維持できる。「直線は1回しか加速できませんが、カーブは何度も加速できます。速度が上がるほど難しくなりますが、ちょっと失敗してもやり直せるところがあるんです。カーブの走り方が馴染んでくれば、直線もカーブの感じで走って、残り30mくらいだけ直線の走り方になってくるのがいい」

谷川監督によればスピードスケートも同じだという。小平奈緒選手(2018年平昌オリンピック女子500m金メダリスト)のコーチである信州大学の結城匡啓氏(60)とも、その点で意見が一致している。「鵜澤はカーブをもう少し速く走らないと19秒台も出せませんし、世界との勝負もできません。練習も普段から、カーブでスピードを出す走りをやり始めました」その練習が可能になったのは、「最近やっと体も上手く使えるようになって、ケガもなくなってきた」(鵜澤)からだ。静岡国際レース後の鵜澤は、19秒台が出なかったことで反省材料しか言わなかったが、谷川監督は「(大学4年間で)全体的な力は上がってきました」と評価している。