「未来を生きる子どもたちのために」各地で進む森林の破壊
森を再生する懸命の試み。その一方で、今、日本各地で進む森の破壊。その影響はさまざまなところにあらわれています。

▼過剰な伐採などで、森の機能が弱まって招く「土砂崩れ」
▼人の手が入らず放置された森に広がる「山火事」
▼森につながる里山の荒廃で、人里にクマが出没するなどの「獣害」
しかし、森の再生には途方もない時間と労力が必要です。
足尾の森はNPOや企業などによって一部が再生され、野生動物も戻ってきました。

ところが、20年かけて「森びとプロジェクト」が再生した面積は、わずか5.6ヘクタール。禿げ山となった地域の0.2%にすぎません。実際、「希望のブナ」の成長も遅々としたものです。

森びとプロジェクト 清水卓 副代表
「1年で10センチ。あれ(親木)が12メートルですから、10センチずつ1年で伸びていっても、100年ですもんね」
それでも、なぜこうした作業に取り組み続けるのでしょうか。

森びとプロジェクト 清水卓 副代表
「人間はやはり、この自然とこの森がなければ生きていけません。未来を生きる子どもたちのために、この豊かな地球環境を守らなきゃならない。使命感というより、それが私達の義務じゃないかと」
100年以上前、この地で抗議活動を行った田中正造は、こんな言葉を残しています。
「真の文明は、山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし」