京都の中心部を流れる鴨川。その鴨川を横切る何本もの白い線は、京の「山紫水明」を引き立て、その穏やかな美しさと心地よい水音で、訪れる人々に「これぞ京都」という風情を届けてくれます。

鴨川の落差工

この風情を支えているのが、川の流れに連なる「落差工(らくさこう)」と呼ばれる高低差がある段差構造です。昭和10年の大水害をきっかけに実施された大規模な鴨川の改修事業で、治水と景観の両立を目的に整備され、現在も鴨川の象徴的な存在となっています。鴨川全体で46か所。デルタと言われる賀茂大橋まででも16か所あります。

しかし、この風情ある構造が、実は魚たちにとって、命の道をふさぐ“壁”になっていることが、長年見過ごされてきました。