コメの価格が一向に下がらない。備蓄米は市場に出回らない。これに対し江藤農水大臣は“コメが足りない認識は持っていない”とし、流通が間に合っていないなど理由を上げていた。巷では、精米が遅れているとか、もしくは誰かが値上がりを狙って止めているなど憶測が飛び交う。だが、農業政策が専門の宮城大学、大泉名誉教授によれば「コメの価格が下がらない原因の一つは2023年の猛暑でコメの白濁(品質不良)が増え主食用のコメが減少したから。去年6月時点で主食用米は約40万トン減っている」のだいう。

何かとよくわからないコメ事情をコメの生産者をスタジオに招き繙いた。

「茶碗一杯25円が40~50円になっただけ。農家の手間を考えたら高いですか?」

コメは本当に不足しているのか? 政府は何故“コメはある”と言い張るのか? スタジオに来てくれた大規模農業でコメ生産を担う徳本氏に話を聞いた。

農業法人『トゥリーアンドノーフ』徳本修一氏
「この2年間は異常な猛暑とコメの天敵であるカメムシが異常発生した。物理的に主食用のコメはかなり減っている。日本人はコシヒカリが大好きでしょ。コシヒカリは特に暑さに弱いんです。農水省は作況指数を毎年出す。収穫量の指数なんですが、去年も一昨年も100~101って出てるんですよ。でも僕らの肌感覚ではまずそんなに採れてない。そこが1割ぶれただけでも40~50万トンのブレが出る。供給の試算がかなり(政府は)甘いなぁと…(中略)一方で思うのは、コメはずーっと安かった。何十年も米価は上がらず、僕らの肥料代とか種代とか機械代とか上がり続けてる。そういう中でコメ農家は利益が出せなくてどんどん潰れていった。高い高いって言ってもお茶碗一杯25円だったのが40~50円になっただけ。農家の手間を考えたらこれが高いですか?適正価格という言葉が正しいかわからないが、農家の手取りを考えるとこれくらいで…。メディアでも高い高い言うけど、そんな高くない…」

以前から農水省の言うことはウソ。コメは足りていないと言い続けてきた加谷珪一氏も言う。

経済評論家 加谷珪一氏
「この問題が発生した当初から、私色々な番組に呼ばれ『なぜ米がこんなに高いんですか』と聞かれるたびに米が足りないんです、農水省がウソをついているとずーっと言い続けて来たんですが、メディアも中間業者が買い占めているとか農水省の言い分垂れ流しで…誰かのせいにしたいんですが、根本的にコメが足りないんです。どうしてかというと日本人がコメを食べなくなった。昭和の時代に比べて消費量は半分。市場が小さくなっているところでちょっと増産したら価格が暴落して破産するわけです。だからぎりぎりの生産量にとどめ置く。(中略)こういう状態で(猛暑で)生産が減ったり(インバウンドで)需要が増えたりすると経済学的にはボラティリティと言いますが価格が大きく変動するんですよ。経済学的には当たり前…」

加谷氏によれば農水省も農政事態を抜本的に変えないといけないことは承知しながら、高齢者が多い農家に痛みを伴う農政改革は難しい。そこをだましだましやってきた結果が現在のコメ事情だという。