0%にしたら約5兆円税収減 一律の現金給付なら4万円の計算

藤森祥平キャスター:
夏の参院選を控え、消費税の減税案の声が日に日に大きくなってきているようにも聞こえます。
【消費減税 各党のスタンス】
自民党
・参院8割が減税要求
・軽減税率0%を求める議員らも
公明党
・減税+つなぎ給付
立憲民主党
・1年間食料品0%(1回のみ延長可)
日本維新の会
・2年限定で食料品0%
国民民主党
・時限的に一律5%
各党のスタンスがはっきりしてきた中で、自民党はまだまとめきれていません。

星浩さんによると、森山幹事長や林官房長官が反対していて、石破総理がすぐに決断できない状況にあるといいます。そして、「参院選の結果次第では躍進した政党の案を受け入れる可能性もある」ということでした。
減税をすると税収は減ります。今、食料品などにかかっている軽減税率8%を0%にすると、年間で税収は約5兆円減るということになります。

5兆円の財源があったら、一律の現金給付の場合、1人あたり4万円の給付が可能になる計算です。
消費税の減税で、この4万円分を得ようとするのであれば、食料品などを年間1人あたり50万円分購入する必要があります。4人家族の場合、年間で200万円分を食料品などに使うという計算です。

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
基本的には、選挙前に各党が減税になびいているのは非常に嘆かわしいです。
1年限定で消費税を減らすのは手間もかかるし、現金給付の方がシンプルで手っ取り早いと思うのですが、なぜ消費税減税の方が人気あるのかよくわからないです。
5月1日は「メーデー」でした。ドイツだと休みで、労働者の人たちはデモなどもしていました。
ドイツはインフレが進んでいて、ストライキなどの労働運動が盛んな国だと、インフレを前にして、減税よりも賃金を上げていこうという流れが自然で、グローバルスタンダードだと思います。
それに対して日本は全然ありません。単に賃金を上げることができないので、国に対して税金を減らそうとなってしまっています。
賃金を上げることで、むしろビジネス面でも産業構造の転換もしていき、新しい技術に投資もしていく形で企業も変わっていって、長期的に国も成長していくと思います。
日本の減税だけだと、インセンティブが資本の側に一切生じないので、赤字国債を発行するやり方は、長期的には日本の停滞がますます長引いてしまうのではないかと危惧しています。