山岳観光が本格化する中、北アルプス燕岳へ向かう県道で4月、路肩の崩落が起きました。山小屋の利用客は例年の2割に落ち込んでいて、関係者が30日、県に早期復旧を求めました。

30日午後、県庁を訪れた安曇野市の太田市長と観光関係者。崩落した県道の早期復旧を新田副知事に要望しました。


現場は、安曇野市穂高の山中を通る県道。北アルプス・燕岳の登山口=中房温泉に通じる、唯一の道です。

今月14日、建設会社が路肩の整備作業を行っていたところ、突如、崩落が発生。作業中のバックホーが巻き込まれ、50代の男性が死亡しました。

森記者レポート:「崩落が発生した現場では、復旧に向けた調査などが行われている。その脇に2メートルから3メートルほどの通路が設けられ、登山者はここを歩いて通過する」


現在、崩落した場所には足場が組まれ、復旧にむけた作業が始まっています。事故直後は全面通行止めとなっていましたが、24日からは徒歩に限定して通行可能になりました。


安全確保のため、崩落の予兆を感知するセンサーが取り付けられていて、万が一の場合にはサイレンを鳴らして知らせるといいます。

登山口との行き来は、山麓にある宮城ゲートから崩落個所までのおよそ7キロの区間で、1日5~6便の定期バスかタクシーが利用できます。

また崩落個所を徒歩で通過した後、登山口との間のおよそ6キロは無料の送迎車が出ています。


きょう(30日)の日中も、送迎車両とバスを使って下山する登山者や、崩落個所を気にかけながら登山口を目指す人の姿が見られました。

岐阜県から:「少し心配にはなりましたけど、(バスが)ピストンしてくれるというのが書いてあったので、予定は変更せずに(来れた)」

愛知県から:「復旧のほうもだいぶやっていただけていて、臨時のバスも出していただいているのでだいぶ助かっています」

愛知県から:「行けるだけでもありがたいです。天候もきょうはとても良くて、最高だなと皆さんと話しながら楽しく登山できました」

バスの運行会社によると、これまでのところ大きな問題はありませんが、運行する便数が限られるため、連休後半に向けて、混雑や混乱も懸念されています。

県への要望に出席した安曇野市観光協会会長の赤沼健至さんは、燕岳近くの燕山荘の社長を務めています。

通行止めの影響により、今シーズンは営業の開始が遅れ、利用する登山者も少ないと言います。

赤沼健至さん:「26日からの営業となった。(例年の)2割ぐらいしかお客さんは来ていない」



6月から始まる夏山シーズンへの影響も懸念されることから、一日も早い復旧を願っています。

赤沼健至さん:「夏までに間に合うのかなという声が一番多い。(登山客からは)楽しみにしているので、ぜひ早く通してと言われている」

県の安曇野建設事務所は、現場では地質調査を行い、原因の特定などを進めていますが復旧時期については未定だとしています。