Vox Mediaの事例から見えること

Vox Mediaの事例は、メディアビジネスを考えるうえでいくつかの興味深い点を示しています。

まず、ビジネスには好調な時期もあれば、厳しい時期もあるということです。2010年代に期待されたウェブメディアのビジネスモデルが、現状では思ったように伸びていないなかで、Vox Mediaはポートフォリオを適切に組み、複数のビジネスモデルを展開することの重要性を示唆しています。

また、Podcastという、事業開始当時はまだ市場が確立されていなかった分野に投資し、それが現在、会社の収益を支える柱のひとつとなっている点は注目に値します。1つのビジネスモデルに依存せず、常に複数の可能性を探ることの重要性がうかがえます。

さらに、個人が面白がって始めた活動を、後から会社がサポートし、事業化していくという流れも非常に興味深い点です。個人の熱意を起点としつつ、組織としてそれを育てていくアプローチは、新しい事業を生み出す上でのヒントとなるかもしれません。

Vox MediaのPodcast事業の成功は、ウェブメディアが直面する課題を乗り越えるための可能性を示しており、今後のメディアビジネスのあり方を考える上で参考になる事例と言えるでしょう。

<野村高文>
Podcastプロデューサー・編集者。PHP研究所、ボストン・コンサルティング・グループ、NewsPicksを経て独立し、現在はPodcast Studio Chronicle代表。毎週月曜日の朝6時に配信しているTBS Podcast「東京ビジネスハブ」のパーソナリティを務める。