対中関税「腰砕け」の兆し

さらに関税政策の手詰まり感を一番表しているのが、対中国だ。
▼アメリカは中国に145%の関税
▼中国はアメリカに125%と、事実上の禁輸状態になっている。

――中国が一歩も譲歩しないうちに、アメリカは145%⇒50~60%程度への引き下げを検討との報道もある。

杉田さん:

「関税合戦の本丸は中国なのに、事実上何も進んでない状況だと思う。中国との交渉を誰がやるのか。1期目はライトハイザー通商代表と中国の劉鶴副首相が交渉していい勝負になった。今回は誰がやるのかもさっぱりわからず、体制もできてないというのが現状だろう」

「水と油」2つの派閥の戦い

また、関税政策がちぐはぐになっている背景には、関税や対外政策に関して「水と油」のような正反対の2つの派閥が関係しているという。

【市場重視派】⇒ベッセント財務長官・ルビオ国務長官
【MAGA派】⇒ナバロ通商製造業担当上級顧問・ラトニック商務長官

関税政策はMAGA派に乗っかり進められたが、“トリプル安”の発生でベッセント氏がトランプ氏を説得。相互関税の上乗せ分は一時停止となり、現状では関税に関してベッセント氏が前面に出ることで市場は落ち着きつつある。
ただ、MAGA派の“巻き返し”の可能性も十分考えられるという。

杉田さん:
「関税といえば第1期政権以来ナバロ氏が自分のイシューだということでずっとやってきたが、ベッセント氏に取られてしまった。ナバロ氏はトランプ氏とも最近は協議できてないようで、ベッセント氏を潰すためにこれから色んな仕掛けをしてくると思う」