2月26日に市内で大規模な山林火災が発生すると、強い風により延焼が拡大し、火災発生から1時間ほどで会社近くの山まで煙が押し寄せました。

営業部長の古川翔太さんはあの日のことを次のように話します。
(古川翔太さん)
「もう山の方が煙で覆われてて火も迫ってくるみたいな状況でびっくりしました」
社長で父の古川季宏さんは盛岡に出張中で、翔太さんは従業員とともに避難しました。
そして山林火災の発生から12日後の3月10日、避難指示が解除されると古川さん親子はすぐに会社に向かい、アワビを育てる水槽を確認しました。

(古川季宏社長)
「消防団の方からの映像で一応ある程度は確認していたのですが、まさかここまでひどいとはって感じは確かに思ってましたね」
(古川翔太さん)
「ここが元々6、7センチ以上の食用のアワビがそれぞれに何個みたいな感じで入ってた水槽なんですけど中でちょっと全部死んでしまってですね、いま中で海水そのまま流せない状態でいたのでけっこうもう腐ってしまってこんな感じで濁ってますし、臭いもけっこう近づくときついような状況になっています」

火災による停電で海水を循環させるシステムが停止したことで、養殖していたおよそ250万個のアワビのほとんどが死滅しました。

被害は他にも…。
(古川翔太さん)
「管が3本あります。1、2、3本あってこの2本がちょっとダメで使えないような感じで、この1本が若干生きてますね」

海水をくみ上げ、水槽へと送る送水管にも火の手が及び、3本のうち1本だけが辛うじて使えるという状態でした。
一部生き残ったアワビがあるものの、被害総額は5億円から6億円と見込まれています。

(古川季宏社長)
「率直になぜ2回もって思いましたね。しかも、やっと震災から立ち直って2、3年でしたから。なぜこのタイミングでって思いました、やっぱり」

海に面した会社と養殖施設は東日本大震災で被災し、この時の被害総額は20億円以上に上りましたが、震災から3年後の2014年には養殖施設を再建。
アワビのブランド化を順調に進めてきた中での、今回の2度目の被災でした。
