鮮やかな色が目を引く錦鯉のデジタルアート
2004年の『中越地震』で大きな被害を受け、高齢化と人口減少という課題に直面する長岡市の山古志(やまこし)地域で、このデジタルアートを使った珍しい試みが始まっています。


9月の長岡市の山古志地域で、青々とした棚田をバックに軽快な音楽が響いていました。
この日開かれていたのは『山古志JAZZ』と銘打ったコンサート。

訪れた人たちは、大自然の中で味わうぜいたくな音色に酔いしれていました…が、この日、ここにいた来場者だけがこのコンサートを楽しんでいたわけではありませんでした。


【会場スタッフ】「デジタル村民がここに今集まっていて…」


バーチャル上につくられた仮想の山古志地域にも、同じコンサート会場が映し出されていました。デジタルで現地と同じイベントを楽しむことができる世界です。

デジタルの力で山古志に人を呼び込む


新たなプロジェクトを始めたのは『山古志住民会議』の代表・竹内春華さん(41歳)。
山古志や小千谷市が発祥の地とされる、泳ぐ宝石・錦鯉をモチーフにしたデジタルアートを発行し、販売することにしたのです。

目を付けたのは『NFT』という新たなテクノロジーでした。
『NFT』とは、デジタルアートなどに対してそれが偽造や複製のできない唯一無二の“オリジナル”だと示す、証明書のようなものです。


【山古志住民会議 竹内春華代表】「今回山古志が発行したNFTは“仲間の証”。山古志を一緒に作っていく仲間の一員という証をひも付けて発行しています」


プロジェクトでは、これらアートを『電子住民票』として扱い、アートを購入してくれた人を山古志の『デジタル村民』として迎えます。居住地や立場に関係なく地域を活性化するためのアイデアを募り、町おこしにつなげようというチャレンジです。


プロジェクト発足のきっかけとなったのが、2004年の中越地震です。

当時の山古志村では、村民全員が故郷を離れる『全村避難』を余儀なくされました。