「静かな退職」職場への影響・メリット

藤森キャスター:
働きがいのある会社総研によると、管理職・役員等で、職場への影響はないと答えた人は11.9%だということです。つまり、9割近くが“静かな退職”の影響があるとみているようです。主な影響として、▼連帯が低下する、▼仕事量の偏りによる不満が募るという点があるといいます。

一方、大正大学の海老原氏によると、▼年功昇給・残業代の見直し、▼中途採用がしやすくなるといったメリットもあるということです。

真山仁さん:
バブルがはじけてから、年功序列をやめようとずっと言われてきていますが、現実では続いています。「5年いれば係長になるのが当たり前」という雰囲気もありますね。

“静かな退職”のような選択を企業が許していくようになると、企業側もそれに合わせて制度を変えやすくなるともいえます。

一見、ウィンウィンですが、力のある組織と個人の中で「あなたが選んだのだからそのまま」とされて、いくつになっても昇給しない制度になる可能性もあるわけです。

小川キャスター:
環境としてはもっとシビアになる可能性があるということですね。

真山仁さん:
雇用制度の問題点はずっと見て見ぬふりしてきたのです。

私は新聞社にもいましたが、むちゃくちゃな働き方をさせながら「モチベーションがあるでしょ」と言われてきた人もたくさんいます。そういう点から考え直して欲しいです。

三宅香帆さん:
企業側も変わっていくべきというのは、本当にその通りだと思います。

従来の日本企業のような、全員に成長・昇給を目指して頑張れというあり方が限界に近づいていて、多様な働き方を許容するように企業が変わっていかなくてはいけない時代だと思います。

小川キャスター:
育児や介護、健康状態などで意欲的になりたくてもなれない瞬間はありますから、柔軟な働き方というのを後押しするような広がり方をすればいいですね。

藤森キャスター:
そして、意欲があって成果を残した人に対しては、正しい評価をしてほしいと願っています。

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<プロフィール>
三宅香帆さん
文芸評論家 年間350冊以上の本を読む
「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」で新書大賞

真山仁さん
小説家 「ハゲタカ」「ロッキード」など
最新著書に「ロスト7」