専門家「家事・育児と両立できる働き方に繋がる」と分析も

藤森祥平キャスター:
“静かな退職”は、3年前にアメリカで広がってきた「クワイエットクイッティング」の日本語訳で、退職はせずに最低限の仕事しかしない働き方を指します。これは“主体的に選択する”という点がポイントです。

大手企業勤務の20代男性は、「業務に対する熱意がゼロ」と話していましたが、“静かな退職”について、雇用問題に詳しい大正大学の海老原嗣生氏は「いまは労働人口が減り、昭和のような『24時間戦う』無駄な働き方が難しい」「共働き家庭が増えるなか、会社に縛られない『静かな退職』は、家事や育児などと両立できる働き方に繋がる」とみています。

小川彩佳キャスター:
三宅さんは、脱・全身全霊という働き方、仕事に全力を傾注するだけではない生き方を提唱していますが、考え方は似ていますか?

三宅香帆さん:
すごく似ているなと思います。
私の著書「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」の中で、全身全霊ではなく「半身」という言葉を使いました。

その言葉も、競争社会に全コミットしすぎると、年齢を重ねたときにバーンアウトしてしまったり、頑張りすぎて鬱になってしまったり、あるいは家庭との両立が難しかったりという問題があるという問いかけだったのです。

アメリカでは「クワイエットクイッティング」、中国では「寝そべり族」という言葉が流行っていて、競争社会へのアンチテーゼが若い世代の世界的な流行の一つです。

やりがいを求めすぎないというより、競争社会で勝つことだけを考えて仕事にフルコミットするのではなく、仕事も頑張るけどそれ以外のところも人生の楽しみだということに価値を置くという価値観が世界的に広まっているのかなと思います。