■作家・あさのあつこさん「子どもたちの世界は、逃げ場がない」
生きづらさ。そして自分らしさを出せずにいる若い当事者たち。

その現状を知ってもらおうと、竹内さんと共に特別講師に招かれたのが、小説「バッテリー」の著者で多くの児童文学も執筆する、あさのあつこさんです。竹内さんと同じく、岡山県北部で生まれ育ちました。
(作家 あさのあつこさん)
「子ども達って『世界が狭い』というか、大人のようにコミュニティが無いので。そこで『人と違う』と感じてしまったら、『逃げ場が無い』という気持ちになるじゃないですか」

(竹内清文さん)
「なんか私の心を見透かされた感じです。ぜひ私個人としても、あさのさんのそういった思いを聞いてみたいですし。それを聞いたうえで、私が話せることもあるので」
■あさのさん「人を線引きすることへの抵抗」

作家としてデビューし約30年。あさのさんは当事者ではありませんが、多くの物語で「人」を描く中で、今の社会に違和感を感じてきた一人です。
(作家 あさのあつこさん)
「物語をずっと書いているって、『人』をひとりの『人』として認めないと、物語って書けないんですよ」
「その人の『性』がどうであろうと、『何を愛そう』と認めた上で、書いていかないと物語にならないので、『人を分ける』ということに対して、線引きをする事に対して、すごく昔から抵抗がありました」
■「多様な性の受け入れ」に立ちはだかる「制服問題」
2人の視点による「多様な社会の未来」についてのディスカッション。その中で、現在、中学校が抱える課題が取り上げられました。

(校長)
「来年度から制服が『自由に選択できます』が、LGBTQ+と思われるのが嫌なので、スラックスをはけない女子もいます、とのことです」

(竹内清文さん)
「それは逆というか。沖縄県糸満市という所があるんですが。小学校で1~6年生まで全クラス全学年『多様性』の授業を行っていて。上がった中学校が『制服選択制』なんです。この授業を受けた子どもたちは、全く問題なく選んでいます」

菅公学生服が、全国の男女1200人を対象に行なったアンケートで、「自身が通っていた学校が女子の制服で、パンツスタイルを選択できた」と答えた人は、全体で13.4%。ただ10代に限ると45%で、若い世代では制服を自由に選べる傾向が見えてきます。
人と違う制服を選ぶことで、性的少数者と見られることにつながるという「無意識の思い込み」。制度だけでは越えられない壁がある、と警鐘を鳴らします。