「スポンジが水を吸うように…」どんどん吸収する2人

数日後、2人が向かったのは、いわき市に7年前再建された登り窯。伝統の登り窯での作品づくりに携わるのは初めてです。

近藤さん「2人で、この周りに松ぼっくりがいっぱいあるので取ってきて」

この日初めての仕事は、火がよく燃えるための松ぼっくり拾い。他にも、掃除をしたり、薪を運んだりと、することは山ほどあります。

いよいよ窯に火が入ります。窯の中の温度を見ながら、細かく薪を入れていく作業を24時間交代で行います。

近藤さん「(炎が)消えないように、細い木で補充して消えないように」

青木さん「1週間ぐらい、24時間ずっと見張っているのは結構気が張って大変だなと思います」

ここまでおよそ1週間。初めてのことばかりで、なかなかうまくいかないこともあるといいます。

伊藤さん「言っていただいたことをそのままやっているつもりではいるんですが、全然体の使い方とかができていなくて、しっかり職人さんの動きとか体の使い方を見て学んでいかなきゃいけないなと思っています。(夢は)変わっていないです」

近藤さん「ひとつの大きな目的がぶれない、その気持ちさえあれば。これから色々な壁は当然ぶつかってくる。我々はそれをいかにフォローできるかということだと思う」

火入れから2日後、窯の温度が1200℃近くになりました。伝統を受け継ぐ近藤さんの思いに共感して、ここで共に働き始めた2人。近藤さんも頼もしく感じています。

近藤さん「何か乾いたスポンジが水を吸うように、どんどんどんどん吸収してもらっているのかなというふうに実感しています。さっき薪運びだけだと言ったけど非常に助かっています(笑)」

伊藤さん「登り窯の作業をさせてもらえるというか、邪魔じゃないかなと思っていたんですが、薪運びで助かっているって言っていただけたのでもっと頑張ります」
青木さん2「運びます(笑)」

目指すは、大堀相馬焼の伝統の継承と産地復活。窯元を目指す2人の若い力が、その取り組みを後押ししています。2人の当面の目標は、来年の登り窯に自身の作品を入れて焼くことだということです。