「私の持っているものを盗んで」窯元で修業
4月1日、2人は、浪江町役場で委嘱状の交付を受けました。
浪江町・吉田栄光町長「300年も続く大堀相馬焼で、非常に期待を地域の方がしているでしょう。ぜひ一回りも二回りも大きくなって、成長していただければと思っています」
2人は「地域おこし協力隊」として、今後最大3年間、陶吉郎窯で修業を積むことになったのです。
伊藤さん「3年後、できるか分からないですが、自分で窯を持って新しい窯元になりたいと思っている」
青木さん「伝統技法も交えつつ、自分の今まで作ってきた作品も合わせながら、成長していけたらと思っています」
翌日、2人は避難指示が解除された浪江町の窯元に出向きました。師匠は、陶吉郎窯の窯元・近藤学さんです。

近藤さん「大堀相馬焼は14年前に産地が1回崩壊した。俺と2人でまず再建に向かって第一歩を踏み出すということだから、これは大きな意味合いがある。よろしくお願いします」
浪江町で300年以上続く大堀相馬焼は、原発事故で20数軒あった窯元がすべて避難。おととし、窯元の避難指示が解除されましたが、戻ってきているのは「陶吉郎窯」だけです。修業初日、さっそく2人は作業場に入り、職人から直接指導を受けます。
大堀相馬焼 職人・根本清己さん「これは分かる?さいばし。これは大きな花瓶とか手で取れないので挟んで上げるもの」
まずは、陶器を作るための様々な道具の説明。細かくメモを取りながら、知識を吸収していきます。

根本さん「とりあえず、やりましょう」
近藤さん「基本的にここで仕事をしてもらう時は見て覚えてもらう」
伊藤さん「自分で何が必要か、ちゃんと見て学ぶという姿勢を持って学んでいきたいなと思いました」
根本さん「私の持っているものを盗んでいってください。別に教えたって減るものでもないし、ろうそくの火と一緒。1本ろうそくを持っていて、今から火を使うんだから、俺の火から持っていけ。俺の火は消えないから」