新しい駅舎の建設や線路の高架化に向けて、周辺では大規模な工事が進んでいます。その工事現場にテレビの取材として初めてカメラが潜入しました。
■2.4キロの線路が高架に 「JR社員でもなかなか見ることのできない光景」
JR松山駅の周辺で、来年度中の完成を目指して進められている高架橋の建設工事では、2.4キロの線路が高架化されます。
鉄道が高架化されることで多くの踏み切りを撤去することができるので、渋滞や事故の解消に繋がるほか、これまで線路によって分断されてしまっていた街の一体化にも期待できるということです。
カメラが潜入したのは、将来列車が走る場所です。

「JRの社員でも中々見ることのできない光景」と話すその現場を、JR四国・松山工事所の藤澤進武所長に案内してもらいました。
■等間隔に並ぶ鉄筋…一足先に見えた完成後の姿

高さ約8メートル、白いコンクリートの広がる真新しい高架橋の上からは、2つのホームとそれを挟み込む形で設置される4線の線路からなる新しい松山駅の姿を、一足先に見ることができました。街の新たな「顔」となる駅舎の工事も、間もなく着手されるとのことです。
一方、別の高架橋の上では、これからレールを敷くための準備も進められていました。枕木を乗せるための土台となる、コンクリートを設置するための鉄筋が等間隔に並びます。そこからは、完成後に単線から2線に分かれてさらに4線に分岐して駅へ入っていく線路の様子をうかがい知ることができました。

また、既に電柱とレールが設置が完了している場所もありました。線路の両側にまたがり銀色に輝く門型の電柱。その間に、ビームと呼ばれる部品と電線が取り付けられます。その下には、コンクリート製の枕木とカーブを描くレールが見えました。
■「ロングレール」で騒音や振動軽減 乗り心地も向上
ちなみにこのレール、ただのレールではありません。設置されているのは、新幹線などにも使われている、継ぎ目のない「ロングレール」です。現場に運び込まれたあと、溶接されて繋ぎ合わせられます。

ロングレールを使用することで、列車が通過する時の騒音や振動が軽減されるほか、列車の乗り心地も良くなるとのこと。既に運用が開始されている場所で、実際に聞き比べてみると、列車が走る時のリズミカルに響く「カタンコトン」の音が全く聞こえず、その違いは歴然でした。
現在、7つに分かれた工区のうち3つの工区で高架橋本体が完成していて、順次レールの敷設や電柱の設置が行われています。