
手術開始です。

執刀する三田医師は、操縦席に座り、3Dカメラの映像を見ながら手元のコントローラーで鉗子を動かします。

前立腺にたどり着くまで左の鉗子で途中の臓器をひっぱり、右の鉗子で膜をはがします。

カメラの位置を変えるには、左のフットスイッチを踏みます。

出血すると、右のスイッチを踏んで電気を流して組織を焼いて止血します。出血が多くなりそうなときは縫合します。

控え医師 郷力昭宏 医師
「車の運転とけっこう似たような感じですね。最初はどうしても時間がかかったり、手間取りますけど、慣れてくると、マニュアルの車のクラッチを踏んで運転するみたいな感じにはなっています」
三田耕司 医師
「はい。サンキュー」

三田医師が声をかけているのは、ロボットアームのそばにいる助手や看護師です。鉗子を交換したり、手術に異変がないか、モニターをチェックしたりします。

一番大きな役割は、執刀医が操作する左右の鉗子とは別に、まん中の吸引鉗子を操作することです。尿などが漏れ出たときに吸引して手術する個所をよく見えるようにします。

控え医師 郷力昭宏 医師
「これから、いよいよ尿道を切って前立腺を取ります」

前立腺がんは早期でも全部、取ります。摘出した前立腺は袋に回収します。このあと、ぼうこうと尿道を縫合し、リンパ節への転移がないか、チェックしました。
