広島県呉市は人口が20万人を下回ったことを受け、「人口戦略対策本部」を立ち上げました。全庁を挙げて人口減対策に乗り出すとしています。

呉市の人口は、住民基本台帳で3月末時点で19万9481人と、「平成の大合併」をした2005年以降、初めて20万人を割りました。この20年間で5万4000人あまりが減少したことになります。

明治時代以降、海軍の街として栄えた呉市。人口は戦前の最盛期には40万人を超えました。その後、工業の街へと変わりましたが、それでもピークの1975年には人口およそ31万人と県内では福山市に次ぐ人口を誇りました。

2016年には政令指定都市に次ぐ「中核市」にも指定されましたが、近年は少子高齢化などによる人口減が目立ち、住人も70代・80代がもっとも多く、高齢化が進んでいます。

さらにおととし、日本製鉄呉地区の閉鎖で、多くの雇用が失われるなど、人口減少に歯止めかからない状況が続いています。

東広島市に人口で逆転される可能性も現実味を帯びるなか、市はきょう新たに設置した「人口戦略対策本部」を初めて開きました。

会議の冒頭、新原市長は「成果が現われるには時間がかかるが、忍耐強い取り組みが必要」とあいさつ。人口減を食い止めるよう全庁をあげて対応するよう求めました。

市長を本部長とする「対策本部」は、▼若者や女性に向けた雇用の創出 ▼子育て世代への環境整備 ▼誰もが暮らしやすいまちづくりを基本構想とし、人を惹きつけるまちを目指すとしています。

新原芳明市長
「(人口が)20万人を切ったということで、一度こうやってそれぞれの確認というか施策の足りないところはないかもう一回全体を見てみたい」

「対策本部」は今後人口減の分析を行い、年明けには「呉市人口戦略プラン」を取りまとめるとしています。