学生たちの心と体の健康のために、上田市の専門学校の校長先生が始めた、ある取り組みに密着しました。
今月8日、上田市の長野医療衛生専門学校では新たな学生たちを迎え、入学式が開かれました。
歯科衛生士、言語聴覚士、音楽療法士の資格を目指す3つの学科のおよそ130人が在籍しています。
宮澤好一校長:「人生の主人公は皆さん自身です。自分の人生を豊かにしていくためにも自分の心と向き合い、社会と向き合っていく学生であってほしいと思います」

校長の宮澤好一さん62歳。
上田市出身で、大学を卒業後、県内の中学校などで教員を務め、定年後にこの学校にやって来ました。
入学式を終えてすぐ、始業式の準備に取り掛かります。
「明日は自責思考と他責思考について話そうと思うんですけど。なんでも人のせいにする他責思考でも、自責思考ばっかりでもダメなんですよね。自己肯定感がどんどん下がっちゃうので、うまくそのへんを使えるようにという話をしたいんですけど。自分ができないことを学生にやれって言ってもなかなかなと思いつつも、自戒の意味も込めていつもやっています」
一息つく間もなく、買い物かごを片手に出かける校長先生。
30分近くかけてやってきたのは、安いと評判の東御市のスーパーです。
学校には学食がありません。
3年前に学生たちからのリクエストに応え、週に1度、自らが厨房に立つ「校長食堂」を始めようと思い立ちました。

「69円だ、安っ、120円だよ。今ほかのスーパー行けば」
モットーはおいしいものを安く提供すること。
物価の高騰が続く中でも値段を変えずにやってきました。
記者:「定食はいくらで出してる?」
宮澤校長:「300円。お代わり自由。うどんの時とか1玉200gあるのに去年6玉食べる人がいました」

校長食堂、開店の日。
午前11時のオープンに向けて準備を始めたのは8時過ぎ。
メニューは初挑戦のから揚げです。作るのは実に120人食分。
「(鶏肉)24キロよし!」
几帳面な性格で油の温度もきっちり測りたい校長先生。
しかし…、肉の量に恐れをなしてさっそく調理をスタート!
一度揚げておき、生徒が来たところでもう一度油に通す二度揚げ方式で、熱々を食べてもらいたいというこだわりようです。
中村清子教頭:「これ学生たちが作ってくれて、校長先生の似顔絵。テスト期間中、学生たちがテスト勉強を始めると校長先生も『僕も頑張る』っていって定期テスト応援ウィークみたいな感じで毎日お昼を提供する。美味しいにかけてる」

栄養のバランスも考えて、大量のキャベツの千切りに。
油揚げとほうれん草たっぷりの味噌汁。
お代わり無料のご飯を準備してあっという間に11時に!

宮澤校長「アツアツ、良い感じですね」
開店してすぐに学生たちが行列を作ります!デザートもついて300円。
ボリューム満点のから揚げ定食、その味は?
学生は:「めちゃめちゃおいしいです」
学生:「(校長先生が作るのが)当たり前みたいになっちゃってるんででも毎回おいしいの作ってくれて助かってます」
学生「おなかちょうどいっぱい」
宮澤校長:「学校は勉強とかテストがあると追いつめられるところみたいなふうになってっちゃうじゃないですか。しかもうちの学校なんて国家試験に向けてなんていう学校なので、でもそうなってきたときに元気が出る場所があればねまた少し頑張れるのかなと思って。学生の心の栄養と体の栄養のために頑張ります。うまいこと言ったね」