崩れた自宅の下で…娘の体は、まだ温かかった

激しい揺れが益城町を襲った9年前の4月14日。登志子さんは不安から車中泊をしていましたが、由実さんたち家族3人は自宅に戻っていました。

まさか、この後さらに強い揺れが来るとは思ってもいませんでした。

登志子さん「余震のことなんて考えつきもしなかった。1回目の揺れの後は、そんなに大きな揺れは夜まで感じなかった。家の瓦の修理や家の中の片付け、そういうのに追われて、揺れを感じなかったから『これ収まったのかな?』という感覚」

16日未明、さらに激しい揺れが襲いました。

2階にいた夫・敏明さんと兄は無事でしたが、1階にいた由実さんは、崩れ落ちた2階部分の下敷きになっていました。

登志子さん「見つけたとき温かかったんです、体が。傷一つなかった。髪の毛か何かが挟まってて、出してあげられなかったんです。息がない子の髪を切ってしまうのは、躊躇しますよね。女の子だし」

28年間、慈しみながら育てた娘との日々は、一瞬で消え去りました。