13日に開幕した「大阪・関西万博」。初日から多くの人が詰めかけ、賑いを見せています。実は、その会場に沖縄発のコンクリート技術が採用されたパビリオンがあるんです。
これまでの常識を覆す驚きの技術が万博の舞台へ!沖縄のコンクリート、すごいことになっています!

「大阪・関西万博」のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。地球規模の課題解決につなげようと世界中から集まった英知に触れることができます。
注目のパビリオンの一つ、「いのちめぐる冒険」は、「マクロス」シリーズなどで知られるアニメーション監督・河森正治さんがプロデュースし、VRなどの最先端技術で食物連鎖や生物多様性などを学ぶことができます。
そのパビリオンの建築資材に使われているのが―。
▼與那嶺キャスター「乗ってこれだけ曲がるってちょっと驚きですよ。本当に。木の板に乗っているような感覚です。コンクリートに乗っているとは思えない。」
沖縄発のコンクリート、ハイブリット・プレストレスト・コンクリート、通称「HPC」です。

これまでの鉄筋コンクリートは塩害を抑えるため厚みが必要でしたが、HPCは鉄筋ではなく“炭素繊維”を使用。錆びる心配がなく、薄くて丈夫なコンクリートなんです。
発案者のHPC沖縄・阿波根昌樹代表に話を聞くと―。
▼HPC沖縄 阿波根昌樹 代表「我々としては今後、HPCをグローバル展開するにあたっては、良いイベントに参加させていただくなぁということで非常にワクワクしました」

HPCは、国内のみならず、アメリカや中国などでも既に特許を取得しています。そんな革新的な技術が、今回万博で採用されたワケ。それは、HPCだからこそ実現できたある特徴が―。
▼HPC沖縄 阿波根昌樹 代表「海水を100%使ってできたコンクリートパネル」
なんと大阪湾の海水が使われているんです。
▼HPC沖縄 阿波根昌樹 代表「塩害を受けない材料なので、海水を使ってもコンクリートが爆裂することがなくて、そういう意味ではHPCだからこそ海水を使える材料として今回万博で採用されました」

とはいえ、気になるのは、その耐久性ですが…
▼HPC沖縄 阿波根昌樹 代表「既存のコンクリート以上に持つというコンセプトで海水を使っています。実は海水を使うことによってコンクリートが”密”になります」
阿波根さんによると、海水を練り込んだHPCと大気中のCO2が反応して「岩塩」となり、コンクリートの密度が増して、さらに強固になるということです。

▼HPC沖縄 阿波根昌樹 代表「机上で言うと(耐用年数は)何百年なので、万博のテーマ、一つはSDGs、持続可能な社会を作る。それってHPCの場合、乾式工法と言いましてボルトを外すと取り外しができますね、そうすることによってリユースができる」
万博終了後も再利用できるというHPC。将来的には、”建築資材の中古市場”を展開できる可能性も秘めています。

万博を契機に、阿波根さんは、どんな未来を見据えているのでしょうかー
▼HPC沖縄 阿波根昌樹 代表「沖縄に結びつくようにしていくためには、HPCを海底で展開していこうと。海の生態系を回復させるような事業が、今後生まれてくるんじゃないかっていうところで、そういう技術を今積み上げています」
様々な活用が期待される沖縄発のコンクリート技術、HPC。今後のさらなる広がりに期待が高まります。

HPCの海での活用については、現在、コンクリートに海洋生物の栄養となるアミノ酸を加えた板を海底に沈める実証実験が大分県で行われているということです。更に、工場などから出るCO2をコンクリートのなかに留める「次世代のHPC」を10月に万博で展示予定だということです。
HPC沖縄は自社工場を持たず、外部に委託する経営手法。HPCという特許技術(知的財産)で世界と闘っていく、島しょ地域である沖縄ならではのIPビジネスといえるのではないでしょうか。
また、「海洋資源の保全」や「脱炭素」といった地球規模の課題解決に寄与できるのではないかということで、世界からの注目を集めそうです。
