少年院経験者の“孤立”“孤独”を防ぐために!

NPO法人「セカンドチャンス!」

少年院を出院した人が、やり直すための集まりである「セカンドチャンス!」は、2009年にはじまり、現在まで16年ほど活動が続いているグループです。

活動の大きな柱は、2つあります。
まずは東京、神奈川、長野、大阪、福岡など、各地で開催される“交流会”です。
東京では月に1回ほど休みの日に集まって、飲食店でノンアルコールの食事会が開かれており、10代から40代、時には50代まで、15名から20名ほどが参加して、お互いの経験や将来についてなど、語り合います。

活動のもうひとつの柱は、少年院の訪問です。
そこで日々を送っている若者たちに、経験者として、出院後のことなどメッセージを伝えます。
よくQ&Aと言いますが、Answer=答が決まっていることではないので、経験者としてMessageを贈る、Q&Mとしています。

なぜこのような自助グループが始まったのか?
NPO法人「セカンドチャンス!」代表を務める、才門辰史(さいもん たつし)さんに聴きました。

NPO法人「セカンドチャンス!」代表・才門辰史さん
「自分自身も10代の時に少年院を経験していて、出院の後になかなか繋がりが作れなかったりとか、地元を変えてもなかなか自分のことカミング・アウトできなかったり…。一種の孤独感とか孤立感を感じて、やり直しをしている中で、少年院の法務教官をしていた先生と出会いました。そこで自分は(少年院を)出てきた後に、こういうことがあった、あんなことがあったという話の中で、出院後の居場所を作ろうかということで…」

この元法務教官や、少年事件に熱心に取り組む弁護士などの協力も得て「セカンドチャンス!」は、始まりました。
少年院を出た人にとって、こうした交流がいかに重要であるか、8年ほど前から「セカンドチャンス!」の活動に参加している、遊佐学(ゆざ まなぶ)さんに聴きました。

遊佐学さん
「よく言われる、反省はできるけど、独りでは更生できないというように、やっぱり同じような経験をした仲間との繋がりっていうのが、あるのとないのとでは、違うなと思っていますね」

遊佐さんは、少年院と刑務所に合計3度入ったことがあり、一時は暴力団の構成員として、覚せい剤に溺れた時期もあると言います。
刑務所に入っていた時に、ヤクザの組員からキリスト教の牧師に転身した人の著書に出会ったことがきっかけで、出所後にはクリスチャンとなって、更生しました。

少年院内で「やり直そう」と思うきっかけは与えられても、出院後に本当に更生しようと思った場合、それまでの交友関係とは距離を置く必要があります。
ところが、仲間が居ないと、元の悪い仲間の所に戻ってしまうことが少なくありません。
そうした意味でも「セカンドチャンス!」のような場で、年上の少年院経験者と繋がるのは、大切なことと言えます。