■「プーチンにしてみれば、ネオナチ政権の親玉を倒したんだから今回の軍事作戦は完了ですって言って手を引くことができる」


クリミア橋が破壊されたことを機に、ウクライナ各地への無差別攻撃が激化した。この橋はプーチン氏にとってクリミア併合の象徴であり、成功の証だった。それを破壊したことで、ゼレンスキー大統領をはじめウクライナ要人に対する暗殺の可能性が再び高まったとアメリカは懸念している。


明海大学 小谷哲男 教授
「ロシアにとってとてもシンボリックなクリミア橋が攻撃された時、元スパイであるプーチン氏は何をやるか、アメリカは考える。実際にあった民間施設へのミサイル攻撃、あるいは低出力の核使用など色々考える中で一番手っ取り早いのは、ゼレンスキー暗殺を再び仕掛けるのではないかと…。プーチン氏としてもメンツが保たれてこの戦争から手を引ける」

この話を聞いて大きく頷いたのは小泉氏だ。

東京大学先端科学研究センター 小泉悠 専任講師
「私はそういう可能性を考えてこなかったんですけど、今聞いていると確かにこの手はあるなぁと。これまで普通に戦争やってきてロシアは要人暗殺に関心を持たなかったんですが、暗殺っていうとスパイが殺しに行くとか、ノビチョク(神経剤)で…とか考えますが、ゼレンスキーの居場所を見つけてミサイルぶち込めばいいんですから。それならアメリカと直接対決になるエスカレーションは無いですし・・・。プーチンにしてみればロシアが言うところのネオナチ政権の親玉を倒したんだから今回の軍事作戦は完了ですって言って手を引くことはできる。(中略)ただ、ウクライナ国民の反応が読めない。意気消沈してくれればいいですけど、誰かが上に立ってもっと激しく反撃してくるかもしれない。そういう点では核使用シナリオと変わらない不安要素はある」

核、暗殺、はたまた長期にわたる消耗戦・・・。どの道を選ぶのか、元スパイの頭の中は常人には計りかねる。

(BS-TBS 『報道1930』 10月19日放送より)