「外国のシンクタンクって、その国の情報機関と繋がってますから…」

“スパイ”のリクルート…といっても日本ではピンと来ないかもしれないが、今年CIAが公開した映像がある。

ロシア人科学者のもとに軍の人間がやってきて兵器開発を強いられる。続いて「優秀な若い人材はほとんど既に国から去ってしまった…」とナレーション。やりがいも行き場も失った科学者はある日そっと旅立ちCIAにコンタクトを取る…。動画の最後にはCIAへの安全な連絡方法や安全な接続先などが細かく表示される。

ロシアの才能をリクルートしようとするCIAの勧誘サイトだ。

ところが、今懸念されているのは、逆の現象だ。つまり、トランプ政権下でアメリカのインテリジェンスから人材が流出しようとしている。アメリカでは18の情報機関に総額約18兆円が予算として割り当てられているが、そのダイエットが急速に進められている。

国防長官傘下では人員を5~8%削減するよう指示があり、CIAでは全職員を対象に早期退職を募っている。ここであぶれた人材が海外、特にロシアなど非友好国に流れるかもしれないのだ。

英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)日本特別代表 秋元千明氏
「情報機関の人間は高いスキルを持っていますから“つぶし”がきくんです。どこで利くかというと外国の情報機関です。内輪の情報知ってますし…。(本人はスパイのリクルートって感覚じゃなく)どこかのシンクタンクから声がかかる。外国のシンクタンクって、その国の情報機関と繋がってますから…。私が言うのもなんですけど…。いつのまにか外国のために働かされてしまう…」

ロシアや中国ではアメリカのインテリジェンスをリクルートするメリットはかなり大きいと話すのは兵頭慎治氏だ。

防衛研究所 兵頭慎治 研究幹事
「(アメリカの)人員削減の動きと共にリクルートに乗り出しているという指摘はある。アメリカの国内情報だけでなく、インテリジェンス機関の内部情報も筒抜けになる危険性がある。なので外国への頭脳流出は注意しておく必要があるかと…」
また、情報機関は一度人材を削減すると簡単には元に戻らないという。