3年連続で「ツキノワグマ出没注意報」が発表されました。青森県内の出没件数は、すでに2024年を上回っていて、専門家は「クマは一年を通して出没する」と警鐘を鳴らします。

「ツキノワグマ出没注意報」は、クマが冬眠から目覚める時期にあわせて、県が4月4日~11月30日まで県内全域を対象に発表しました。注意報は3年連続の発表です。

県はその理由について、2024年秋の調査でエサとなる「ブナの実」が豊作であるため、クマの栄養状態が良くなって出産が増えていて、冬眠明けの母グマがエサを求めて行動範囲を広げる恐れがあるためとしています。

これに加え、人間とクマの生活圏が近づいていて、被害にあうケースが増えていると県の担当者は指摘します。

県自然保護課 近藤 毅 総括主幹
「山での仕事をする人が減っている、里山に近い農地での耕作放棄地が出てくると、クマが茂みから出てきやすい。草刈りをしてクマが出にくいようにする対策は効果があると思います」

クマの出没件数は、2023年が過去最高の1133件、2024年が過去2番目の709件で、発生が相次いでいます。

2024年6月には、八甲田山系でタケノコ採りで山に入った女性がクマに襲われて死亡し、登山道の一部などが3か月間にわたって立ち入りが規制され、観光にも大きな影響が出ていました。

2025年の出没件数は3月末時点で29件となり、前の年の同じ時期より15件増えています。

クマの生態に詳しい専門家は、街中に出没する“都市型のクマ”は一年を通して出没すると警鐘を鳴らします。

日本ツキノワグマ研究所 米田一彦 理事長
「“都市型のクマ”は通年、秋や春関係なく出てくる。冬でも出てくる。青森は三八・上北・八戸に近いほうや、津軽も今年の秋は相当出るかと思う」

県はクマの出没が確認されている場所には近づかないこと、クマを引き寄せる食べ物や生ゴミを屋外に放置しないことなどを求めています。