「茶話会」に参加した発達障害当事者の声

港区で開催された「みどる」茶話会より

今回は3月上旬に港区で行われた茶話会を取材してきました。

当日は40代から80代までの男性2人、女性7人が参加。うち4人の方が初めて参加する人でした。毎回、初めての参加者が何人かいるそうです。

「自分の住む地域にはこうしたイベントはない」と東京都以外からやってくる人もいて、当事者には貴重なイベントだと分かりました。

茶話会の様子

会では2つのテーブルに分かれ、スタッフがついて参加者一人ひとりに困りごとを聴き、みんなで知恵や有益な情報を伝え、話し合います。

「職場に障害を理解する人がいない」「友達が少なくて悩んでいる」「経済的に不安があるが、どこに相談していいか分からない」など様々な相談があり、テーブルの人たちで助言し、話し合います。

1時間ほどで休憩をはさみ、席を入れ替えて、話題を変え、同じように話します。最後に感想を交換しあい、スタッフがまとめて終了になります。非常に和気あいあいとした、笑い声の絶えない会になっていました。参加された方はこんなふうに話しています。

参加者の声
「7~8回参加しています。いちばん大きいのは自分は1人じゃないんだって感じるっていうことで、それがないと孤独感がものすごく強くなって、日常生活が成り立たない可能性が高くなってしまうっていうとこですよね。本当に助かっています」(50代男性)

「今回初めて来ました。昔からの友人・知人に発達障害だっていうことをどう話せばいいのかっていうような相談をさせていただきました。皆さん、色々なノウハウとか知識の積み重ねがすごくあるんで、いろいろな情報を聞かせていただいてなるほどな、と思いました」(40代女性)

「初めて参加しました。コロナ禍が明けて、気がついたら友だちがいない、みたいな感じがあって、SNSで相談したらこういう集まりがあると助言されて、それで参加しました。自分とは違う視点からアドバイスしていただいて、『こういう風に考えてみたらどうですか?』 みたいに言ってもらえて、それは面白い視点だなと思いました。すごく役に立ちました」(50代女性)

このように、同じ困りごとを抱えている人と話をするのは大切なことです。

会の最後に全員でする感想の発表では「障害のことはここでしか話せない」「初対面なのに真剣に相談に答えてもらえてとても良かった」などの言葉がありました。
以前の会では「初めて自分の苦しみを分かってくれる人と話ができた」「初めて本音が話せた」と泣いてしまった人もいたそうです。

また、スタッフから行政の支援制度を知ることの大切さが伝えられ、どこの窓口に相談するべきか、どう手続きすればよいか、参考になる本の紹介など、具体的なサポートもありました。

茶話会で紹介された書籍など

山瀬代表はこうした茶話会の意義を次のように話しています。

中高年発達障害当事者会「みどる」・代表理事の山瀬健治さん
「会として大事にしていることがあって、長く続けていくことを考えています。
情報発信する人の所に集まるという役割が大きくて、僕自身、自分も知らなかった制度を参加者さんに教えていただいて利用したケースもありますし、発達障害っていっても十人十色なんで、人の話を聞くことで自己理解が深まることもあるんですよね。

そういう意味で医療や行政ではできない部分がピアサポートにはあるんじゃないかと思っていて、当事者同士にしかできないことが多々あり、こうした集まりは貴重な社会資源なので、長く続けたいと思っています」

このような困り事や情報を共有できる場があることを知らずに、ひとりで悩んでいる中高年世代の人もいると思います。 

そうした方は、いちど「みどる」のホームページを見ることをおすすめします。

ホームページには「茶話会」の開催報告なども掲載されていて、どんなテーマだったか、どんな困り事があったか、どんな感想が出たかなども報告されていて、「茶話会」がどのような会か具体的にわかります。

「茶話会」は毎月1回、第1日曜日か第2日曜日に予定されており、次回は4月6日(日)に開催されます。参加費は500円、ネットからの申込制なので、興味のある方は「みどる」ホームページをご覧ください。また、メールマガジン登録者限定でオンラインでの会も開催されています。

(TBSラジオ「人権TODAY」担当:藤木TDC)