「異例の公開大口論」トランプ・ゼレンスキー会談 外交官としてどうみた?

アメリカ トランプ大統領

Q他国の大使との話題はやはりトランプ政権だと思いますが、この点はどうですか?

金杉大使

トランプ大統領が登場して以来、アメリカとの関係をどういうふうに各国とも管理していくのかというのは非常に大きな課題で、アメリカは大きな話題のひとつです。

トランプ大統領になって率直に申し上げて我々が考えていた「外交の常識」というのが通じない時が多いと思うんですね。そうした中で中国もアメリカとの関係をどのような形で管理していくのか。悩むと同時にトランプ大統領のことを考えながら準備して今、米中関係を進めようと思っていると思うんです。我々ももちろんアメリカとも意見交換をしていますけれども、中国がどういうことを考えているのかはアンテナを高くして情報収集していかなければいけないなと思っています。

ウクライナ・ゼレンスキー大統領とトランプ大統領(2025年3月1日)

Qトランプ大統領といえばウクライナのゼレンスキー大統領とカメラの前で激しいやり取りがありました。ああいうことはよくあるんですか?

金杉大使

いや、ないと思います。もちろん日米関係でも厳しいやりとりはよくあります。私が外務省の北米二課長の時もよくアメリカの人と厳しい議論をしましたけれども、それはカメラの前ではなくてカメラの撮影が終わった後の話なので。トランプ大統領とゼレンスキー大統領のやりとりはびっくりしました。

Q同席していたウクライナの大使は頭を抱えていましたが、もし金杉大使だったらどうしますか?

金杉大使

いやあ…どうしますかね。考えたくないです。

Q各国の外交官の間でも話題でしたか?

金杉大使

そうですね。あの時点では石破総理の訪米はもう終わっていて、なおかつ比較的うまくいったという評価なので、その対比でゼレンスキー大統領、なかなか大変だなという話題はありました。

Q素人考えですがゼレンスキーさん、英語でやったじゃないですか。英語がどんなに上手な方でも普通は通訳を挟むと思うんですよね。直に英語でやったのは外交的に失敗だったのではないですか?

金杉大使

その評価は難しいですね。英語で話した方が直接伝わるっていうのは事実ですが、通訳を入れた方が考える時間があるというのは確かにそうで。私が現場で見てきた中では宮澤元総理は英語が非常にお上手なんですけれども正式な会談は通訳を通じた形でやっておられました。

米中首脳会談(2017年4月7日)