【準々決勝】<東福岡vs大阪桐蔭>終盤で劇的な勝ち越しトライ!伝統校の底力を見せつける

 準々決勝第3試合は、今大会の連覇を狙う大阪桐蔭(大阪)と東福岡(福岡)の対戦。こちらも、最後の最後まで目が離せない劇的な展開になりました。

 先にペースをつかんだのは前回大会王者の大阪桐蔭。キックオフから勢いよく攻め込み敵陣で試合を進めると、開始5分、ラインアウトのボールが後ろに流れたところを直接キャッチしたSH福島悠右選手が、そのままディフェンスを上手くすり抜けてトライ。ゴールも決めて7点をリードします。

 一方の東福岡も反撃。前半12分、東福岡らしい一人一人が判断よく相手をずらしていく連続攻撃で大阪桐蔭陣内深くまで攻めこむと、ディフェンスラインのギャップで上手くパスを受けたFL内田瑛佑選手がそのまま中央にトライ。ゴールも決めて7対7の同点に追いつきます。

 その後は、両チームの意地と意地のぶつかり合い。東福岡がボールをつなぎながら一人一人の当たりの強さとスキルで前に出ようとすると、大阪桐蔭はスクラム・ラインアウトといったセットプレーの安定感と持ち味のフィジカルで対抗。ともに譲らない時間が続きます。

 ようやくスコアが動いたのは24分。東福岡がSO川添丈選手のPGで10対7とリードを奪うも、大阪桐蔭もあせらず反撃。29分にはゴール前のスクラムを押しこんだ後の素早い展開から、最後はPR国分僚太選手が左隅に飛び込んで12対10。前半は、大阪桐蔭が逆転して終了しました。

 逆転して勢いの出た大阪桐蔭。後半に入っても、開始直後から東福岡を自陣の22mラインの内側にくぎ付けにして攻め続けます。しかし、東福岡の粘り強いディフェンスの前に、最後の最後でミスが出て得点につなげることができません。一方の東福岡も、FB早坂俊吾選手の快走から、ようやくチャンスをつかみますが、こちらも大事なところでミスが出て、チャンスを生かすことができません。試合は、12対10のまま終盤に突入します。

 どちらが先にチャンスをものにするか。手に汗握る攻防の中、先に試合の流れを引き寄せたのは大阪桐蔭でした。22分、大阪桐蔭はトライエリアまであとわずかの位置まで攻め込むと、ラインアウトから後ろに流れたボールに再びSH福島選手が反応してトライ。前半と同じ形からトライを奪って17対10とリードをひろげました。

 ところが、直後のキックオフで手痛いミス。規律が乱れてペナルティーを犯してしまいます。トライ数を考えると、準決勝に進むためには、2チャンス以上が必要な東福岡に短い時間でチャンスを与えてしまいました。このチャンスに東福岡は、敵陣22mラインの内側まで攻め込むと、準備してきたプレーを鮮やかに決めてWTB平尾龍太選手が中央にトライ。ゴールも決めて17対17の同点に追いつきました。

 このまま試合が終われば、大阪桐蔭が準決勝進出。残り時間は約5分。勝ち越しを狙ってボールを保持しながら攻め続ける東福岡と、集中力あるディフェンスで東福岡を押し込む大阪桐蔭。文字どおり、両チームの勝利への執念がぶつかり合う時間が続きます。

 そしてロスタイムに突入した35分。ボールをキープしながら試合を終わらせようとする大阪桐蔭に、東福岡は執念で絡んでペナルティーを誘うと、22mライン付近からのラストワンプレーとなった攻撃を粘り強く継続していきます。最後はSO川添丈選手がタックルを次々と振り切って、ゴールポストの左横へ劇的な勝ち越しのトライ。ゴールも決めて24対17。終盤で伝統校の底力を見せつけた東福岡が、大阪桐蔭の分厚いディフェンスを最後の最後で打ち破ってベスト4進出を果たしました。