“増産する体力は残っていない”と嘆く農家 深刻な実態

“生産抑制”への慣れを生んだ減反政策。肝心のコメの価格はどうだったのか。
菅原さんは、農協がコメを集荷する際に前払いする「概算金」を見せてくれました。
「令和の米騒動」と呼ばれた令和6年(2024年)は30キロ9000円ですが、令和5年は5800円、令和4年は5150円、令和3年は4550円、と5000円前後で推移していました。

菅原徹さん(76)
「稲を刈り取る機械です。850万円くらい」
一式2500万円もするという農機具や燃料代などを差し引くと、赤字に。このため、牛の畜産を兼業することで、生計を立ててきたといいます。
菅原さん
「食べる人も、国も、作る人も、一番いいような形の値段を出していくという政策を作っていかなきゃダメだと思う」
菅原さんの地区ではいま、コメ農家の後継者不足が深刻になっています。

菅原さん
「毎年4、5人くらい(農家を)やめる。『コメで食っていけねえ』ということなんですよね。何も損してまで、体痛めてやることでもないかって。年金をつぎ込んでいる人がそんなことまでやることもない」
そんな中、減り続けていた岩手県の生産目安が、コメ不足を背景に、2025年に初めて前の年を上回りました。
しかし、菅原さんは、農家に増産する体力は残っていないと嘆きます。

菅原さん
「これ以上、コメを作ってくれといっても作りようがない。農業本体を食いつぶしてきたっていうのが今までの農業政策ではないかなと思います。国の言う通りにやってきたが、あんたが間違っていたじゃないかと」