■ スマホを手に取った妻がとった行動

ー-国見岳という山で夫が行方不明です。少しでも情報を持っている方、DMください--


妻はSNSを使い情報の発信を始めました。この発信に心を動かされた人がいます。災害・救助ボランティアの白木川 直己(しらきかわ なおき)さんです。


災害・救助ボランティア 白木川 直己さん
「(男性の妻のSNSを)夜中何時に見ても返信している。それを見ていたら、すごく一生懸命されているなと思って。(私が)動ける分、動かないと」


白木川さんは、警察や消防だけではなく山の専門家たちとも連携しながら捜索されていない範囲を絞っていきました。

白木川さん
「そういう方々の1つ1つがやはり実るというか、いろんな人が関わってくれた」


一方、男性は遭難 5日目を迎えたころからは、自ら命を絶つことを考え始めていました。

遭難した男性
「目の前が崖になっていてここから飛び降りたらいいのか。いろいろ楽な死に方を考えた時もありました」


それでも、これまでの人生を共に歩んだ家族や友人の存在が絶望の淵で踏みとどまる力を与えました。


男性
「後悔がものすごくあったんですよね。家族に対しても友人に対しても仕事に対しても『もっとこうしとけば良かった』っていう。生き延びたら次はこうしようとモチベーションを保っていた」


折れそうになる気持ちを奮い立たせて7日目…ついに「その時」が訪れます。

「よく頑張りましたね」
「体が痛い?」
「下半身がとても痛い」


男性
「3回ほど救助されている夢を見ていて、どうせこれも夢だろうと途中まで思っていて、ボランティアの方の1人が『奥さんが待っています。心配してます。帰りましょう』と言っていただいて、夢じゃないんだなって」