いまや物価高の主役となったコメですが、私たちの生活をじわりじわりと脅かしています。こうしたなか、大手外食チェーンは流通が始まった備蓄米を始め、あの手この手でコメを確保しようとしています。

値上がり続けるコメ。きょう責任者は…

江藤拓 農林水産大臣
「あまり価格のことにコミットすることは適切ではないが、店頭価格には影響が出るのでは」

「価格にコミットしない」とした上で、「市場価格の安定を見極める」としました。

しかし、きょうスーパー4社に聞いてみても、販売価格は4000円前後と今週以降、備蓄米が市場に出回るにもかかわらず、下がる気配がありません。

きのう、「吉野家」のテストキッチンには、いちはやく備蓄米が到着。

吉野家HD コメ調達担当 浅野安俊さん
「本日は現行品のお米と備蓄米の方、サンプルで卸様から準備していただいたので」

普段使うブレンド米と備蓄米が入ったブレンド米の試食会。吉野家はコメの卸売り業者から、備蓄米と他の品種をブレンドしたものを試食用として入手しました。試食は、まず白米のみで。社員にはどちらが備蓄米かは伝えられません。

吉野家社員
「シールが付いてない方(現行品)が、コメの若干香りが強いような感じがしたが、どちらもおいしい」
「遜色ないですね」

次は今や第2の柱の唐揚げとともに、粘りなどの口当たりを確認していきます。そして最後は、やはり牛丼。聞こえてきたのは…

吉野家HD コメ調達担当 浅野安俊さん
「牛丼で“タレ通り”も含めて、確認していただきたい」
吉野家社員
「シールがない(現行品の)方が“タレ通り”がいいなと感じる」

みんなが口にする“タレ通り”。実は吉野家にとって、重要なコメの特徴を表しています。

吉野家HD コメ調達担当 浅野安俊さん
「まんべんなくタレが入って、美味しく最後まで食べられる」

吉野家は、実際に店で提供するかどうかブレンド比率を調整するなどして、試食を続けていくとしています。

大手外食チェーンにとって「コメ」の確保は欠かせません。備蓄米も含めて、米の安定調達を託されているのがバイヤーの浅野さん。この日、訪れたのは、茨城県内のコメ農家です。吉野家はコメの大半を卸売り業者から仕入れていますが、今後も安定的に確保したいと農家からの直接買い付けを強化しています。

吉野家HD コメ調達担当 浅野安俊さん
「今年の種子は?」
照沼農園 照沼洋平 社長
「けっこう深く眠ってますね。去年の高温障害があって…」

収穫目標や取引価格。信頼関係の構築も含め、実際に足を運び続けます。

照沼農園 照沼洋平 社長
「最低価格を決めてもらえると、農家もそれに向かってリラックスしながら田植えができる」
吉野家HD コメ調達担当 浅野安俊さん
「我々も農家様が安心して作っていただけるお値段で、しっかりやっていかないと」

必死になる外食チェーンに対し、農家はいまの状況をどうみているのか。

照沼農園 照沼洋平 社長
「(コメは)本当にないなっていうふうに思っています。『誰か隠してる』とかよく言われますけど、農家としてもみんな、お米がない」

コメ確保のため、さらなる新規開拓が続きます。

吉野家HD コメ調達担当 浅野安俊さん
「例年なく非常に厳しい状況で、今年度についても先が読めない状況。北は青森から南は九州・四国まで、お取り組みさせていただいている状況」

私たちの生活を襲う物価高は、いまやどの国よりも高くなっています。その主役は「コメ」。賃上げや減税の政策効果も打ち消しかねないコメの値上がりを抑えられるのか。政府はあすから、2回目の備蓄米の入札を行う予定です。