「組織上の問題」も指摘
百条委員会と第三者委員会それぞれの調査結果が出ましたが、亀井正貴弁護士は「法令解釈のプロで構成される第三者委員会の見解のほうが重い」といいます。
(亀井正貴弁護士)「百条委員会と違って第三者委員会は、元裁判官の弁護士らが判定しています。裁判官は最終的に事実認定ができて法令解釈を最終的に決めることができる立場。専門家の人たちであり、証拠に基づいて断定しているんですね。百条委員会のほうは、事実認定や法解釈は専門家の意見を聞きながらも、基本的には素人。そこのところの違いは大きいと思います」
第三者委員会の調査結果は兵庫県のホームページに掲載されていて、ダイジェスト版・フルサイズ版をそれぞれ閲覧することが可能です。
第三者委員会の報告書には、パワハラや不当な対応が生じた背景についても記載がありました。組織上の問題として、『知事と組織の中心メンバーの間には同質性が醸成』され、『その他の職員との間には分断が進んだ』としたうえで、『自由闊達な議論が行われる気風が失われていく傾向がみられた』と指摘しています。
これについて亀井弁護士は「言わば“チーム斎藤”が他からの情報をブロックし、斎藤知事の意見を重んじていたのではないか」と言い、「知事が独善的になっていく、その環境が問題だったのだろう」という見解を述べています。
「知事としての姿勢を改めるかどうか」専門家が指摘するポイント
百条委員会の調査結果を受けて、3月5日には「パワハラや公益通報の違法性の判断は司法の場で判断されること」とコメントしていた斎藤知事。ただ、「司法の場」で判断される機会は難しいのではないかと亀井弁護士は指摘します。理由として「例えば、パワハラ被害を受けた人たちや、元県民局長の遺族らが訴訟提起するかだが、提訴する側は一定のプライバシー情報もさらすことにもなり、この環境下で訴訟提起はかなりハードルが高いと思う。その意味では、司法の場で判断される機会は少ないのではないかと思う」と話します。一方で、元裁判官の弁護士らの第三者委員会について「独立的な機関として客観的な判断をしているため、裁判所の判断ではないけれども、ほぼそれに近いような判断が下されたというふうにみるべきではないかと思う」と見解を述べました。
その第三者委員会の調査結果を受けた斎藤知事は19日と20日、報告書は「重く受け止める」とした一方で「告発文書は誹謗中傷性の高い文書だった」とこれまでの主張を変えず、さらに「処分は適切だった」と述べました。
亀井弁護士は、斎藤知事が今後「第三者委員会の調査結果を受け入れるかどうか、知事としての姿勢を改めるかどうか」が非常に重要なポイントだといいます。
(亀井正貴弁護士)「心を入れ替えるところまで踏み切れるかどうか。これはちゃんとしたアドバイザーがいるかどうかの問題。これまでいなかったと思うんですよね。知事も独善的な状況になっていますから、ちゃんと言える人がいるかどうかだと思います。常識に基づいて判断すればいいんだけど、そこがなかなか難しいかなと思いますね」