いま投機筋による“史上最大の円買い”が注目されています。しかし円高の進行は限定的で、日銀会合を経た後も、いまだ「半世紀ぶり」の円安水準となっています。為替市場で何が起きているのか?エコノミストの唐鎌大輔氏が解説します。
日銀の「利上げ路線」に賭ける投機筋の“危うさ”

みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔さん:
世界全体に存在する投機的な動きを把握する上で、参考にされる「IMM通貨先物取引」のデータをみると、3月4日の時点で、約110億ドルと史上最大の「円買い」が積みあがっています。
何でこんな事になっているのか。足もとで、円が買われている理由は、日銀がどんどん利上げしていくから、それに応じて日米の金利差が縮小し、円高になる…という思いで買われているワケです。
つまり、投機的な為替のマーケットはものすごく日銀の利上げを当て込んだ勝負をしている状況です。
ただ、日銀の利上げは、円高に賭けていいほど確定的なものではなく、「勇み足」なんじゃないかと私は思っています。
だから、何かの拍子に、投機的な円買いが全て売り戻された時、更なる円安となる可能性を見ておいた方がいいと思います。