〈第97回選抜高等学校野球大会 監督対談 17日 阪神・甲子園球場〉
18日に開幕した選抜甲子園。大会2日目に対戦する青森山田×沖縄尚学は1回戦屈指の好カードだ。
3季連続甲子園出場・青森山田
青森山田は去年の選抜では8強、夏の甲子園では4強と2大会連続で最高成績を更新し続けてており、近年、全国強豪校の仲間入りを果たしている。
秋の東北大会では決勝で聖光学院(福島)に敗れたものの、準優勝を果たし、選抜切符を掴んだ。今大会出場チームの中で、去年の春から3季続けて聖地に足を踏み入れるのは青森山田と前回大会優勝の高崎健康福祉大高崎=健大高崎(群馬)の2校のみだ。また青森山田出場メンバー20人のうち、8人が去年の夏の甲子園メンバーと経験豊富なチームといえる。
選抜2度優勝の名門・沖縄尚学
一方、沖縄尚学は、2度の選抜優勝を誇る名門だ。比嘉公也監督は選手時代、1999年の選抜大会で県勢初Vを達成し、その後2008年の同大会には監督として再び優勝を果たしている。沖縄大会・九州大会ともに制覇し、2年ぶり8回目の選抜出場となる。沖縄県では、沖縄尚学に加え、エナジックスポーツも出場。沖縄県勢で代表校が2校出場するのは11年ぶりとなる。
2005年以来20年ぶりの激突
青森山田と沖縄尚学の甲子園での前回対戦は20年前にさかのぼる。
2005年第77回大会の選抜甲子園。青森山田にとって当時、初めて春の甲子園に出場した初戦で対戦した。結果は3対16と惨敗。当時、青森山田のコーチとして一塁アルプス席で試合を見ていたのが青森山田・兜森崇朗監督だ。その一方的な試合を前に冬の期間、屋外での練習ができない青森県のチームが選抜で勝つ難しさを痛感したと同時に、南国・沖縄県代表の沖縄尚学の仕上がりの早さに驚かされたという。
青森県勢は過去の選抜で沖縄県勢に4戦4敗とこれまで1度も勝てていない。
20年超しのリベンジを目指す兜森監督と沖縄尚学・比嘉公也監督との対談は以下の通り。
青森山田の投手3本柱を警戒
比嘉監督は青森山田の武器である乕谷・菊池統磨・下山の継投策を警戒している。
比嘉監督
「連続して甲子園に出場しているチームで落ち着いた大人の野球をしている印象がある。3人の投手の継投によってどんどんタイプの異なる投手が変わってくる投手陣に警戒したい」
沖縄尚学3番・比嘉を警戒
一方の青森山田・兜森監督は沖縄尚学のつながりのある打線に注目している。特に、警戒している3番の比嘉は秋の九州大会で8割近い打率を残しており、ポイントゲッターの前打者との勝負が鍵を握ると話す。
兜森監督
「秋の大会で好調だった3番の比嘉選手の前にランナーを置きたくない。特に、その前を打つ1番(眞喜志)2番(宮城)は足が速いので警戒したい。その後のバッターもうまさがあるので、波に乗られると失点が止められなくなってくるので、上位3人をしっかりときることがポイント」
兜森監督はさらに、沖縄尚学の野手は守備や打撃などで「ボールの扱い方がうまい」と評し、投手陣の豊富さも警戒点にあげている。互いに、「守りのチーム」と話す両監督。兜森監督は「3点差以上のゲームは苦手」と話し、ロースコアの試合展開を求めていく。
兜森監督
「去年のような絶対的エースがいない中、3人の継投で勝ち上がってきた。この3人を中心に守り勝つことができるか」
比嘉監督は1年生エースの末吉投手の好投が勝利への必須条件としている。
比嘉監督
「1年生バッテリーの出来が重要になってくる。投手が無駄な四球を出さないことや守備陣が無駄なエラーをしてしまうと、相手の強力打線に大量失点しまうので、しないようにしたい」
両チームはこの冬、特に個々のレベルアップに力を注いできた。
比嘉監督
「打者陣はバットの量やスイング量をあげてきて、飛距離が大幅に上がった。実戦でも、形を崩されずやれるか楽しみ」
温暖な環境で打力を向上してきた中、雪国で活動する青森山田は実践面での不安を持っていたが、急ピッチで実践感覚を取り戻してきた。
兜森監督
「グラウンドでの練習ができず、レベルアップがままならないでいた。守備にしても、打撃にしても。不安を持って関西に来た。しかし関西入り後12試合練習試合を行い、グラウンドでやる準備はしっかりとできた」
沖縄尚学は、ここまで甲子園通算26勝。通算30勝を目指して、聖地に乗り込む。対する、青森山田は去年超えはもちろん、悲願の日本一を目指す。
両校の直線距離は約2500キロ離れるなど、練習環境や条件が大きく異なる中、そのギャップを乗り越え、この試合に照準を合わせてきた。
互いに日本一に向けて大きな山場となる一戦は投手戦の様相となりそうだ。