全人代が閉幕した中国。トランプ政権が圧力を強める中、経済成長の目標を5%前後とした。
トランプ大統領には負けないが、デフレには勝てないかもしれない。そうした中国の実態が見えてくる。
中国経済再生の道険し 放置空き家は30億人分?
中国の国会に相当する「全人代」全国人民代表大会政府活動報告の冒頭。李強首相は、去年1年を振り返り、中国が直面している問題を指摘した。

李強首相:
(国内の状況を見ると)経済回復の基盤はまだまだ不安定で、有効需要が不足している。民衆の雇用と所得を増やす圧力に(我々は)直面している。
景気回復の大きな足かせとなっているのが、中国のGDP=国内総生産のおよそ3割を占めるといわれる不動産業の不況。
北京郊外の住宅地。ヨーロッパ風の戸建て住宅が並んでいるが…。かつては高級住宅地の面影が現在は荒れ果てて人が住んでいる気配がない。建設された180戸あまりは開発業者の資金難で販売がストップ。競売にかけられている。

このような建設途中や完成後に放置された空き家は中国の人口の2倍以上が住めるほどだといわれている。

中国国家統計局 賀鏗元副局長:
最も極端な説では、今ある空き家には30億人が住める。でも我々の人口は14億人しかいない。

不動産販売面積は2021年をピークに3年連続で下がり続け、去年2024年は21年から、約46%減っている。習近平政権が2020年に不動産バブルを抑えるため、融資を引き締める政策を実施したことから、開発業者の資金繰りが急速に悪化。物件の引き渡しが滞る恐れから消費者の買い控えも進んだ結果だ。
李強首相:
引き続き、不動産市場の下落や安定回復の推進に力を注ぐ。
地方政府が発行する債券を増発し、在庫住宅の買い上げなどに充てる一方、不良債権処理などのため、約10兆円を大手の国有銀行に資本注入し金融不安を抑えるねらいだ。そして今年政府が最優先で取り組むとした問題が「消費の押し上げと内需の拡大」。