2024年1月、青森県八戸市で当時5歳の女の子が母親らに水を浴びせられ死亡した事件について、県の第三者機関が「検証報告書」をまとめました。「各機関が知りえる情報のみでは緊急的な対応の必要性を判断することは困難だった」としています。

県の第三者機関「児童処遇部会」は、当時5歳の女の子の虐待死に関する検証報告書を発表しました。

この事件は、2024年1月、八戸市で宮本菜々美受刑者が、内縁の夫の関川亮被告とともに、当時5歳の娘・望愛(のの)ちゃんを浴室で服を着せたまま水を浴びせ、約4時間半放置して死亡させたとされています。

宮本受刑者は、保護責任者遺棄致死の罪で懲役9年の判決が確定しています。

処遇部会は、2023年6月に宮本受刑者が望愛ちゃんと一緒に八戸市へ引っ越したあと、市や児童相談所が行った対応を検証し、「各機関が知りえる情報のみでは緊急的な対応の必要性を判断することは困難だったと思慮される」と結論付けました。

また、虐待がエスカレートした2023年11月下旬から関係機関に情報は寄せられず、宮本受刑者も行政の支援を拒否したことから、「指導を継続していても望愛ちゃんの死を防ぐことは厳しかったかもしれない」としました。

そして、組織や個人の責任については判断できないとしたうえで、関係機関の情報共有や役割分担の必要性を指摘しました。

県こどもみらい課 和田哲也 課長
「それぞれ(の機関)が持っている情報だけだと『緊急的に保護しなければいけない』にはならなかった。今後の課題は連携・情報の共有が必要。職員の専門性を十分に発揮できる体制になっていない課題がある。それも要因」

望愛ちゃんの死亡後、県は児童相談所の体制強化に取り組み、2025年2月末時点の職員数は106人と前の年度から10人増員となっています。

一方で、「児童福祉司」と「心理士」は国の基準より17人少ない96人で、虐待に関する対応件数の増加が、職員の増加を上回っています。