日本におけるDEIは? 専門家「女の人すら活躍できない社会においては…」
今、世界各国で懸念される“反DEI”とも受け取れる動き。

イタリアでは、メローニ首相が“反LGBTQ”的発言を繰り返し、カップルが代理母を通じて子どもを持つことを制限。LGBTQの人々を標的にしたものだと批判されました。

また、ドイツでは、2月の連邦議会選挙で躍進した極右の「AfD」が多様性重視の政策を拒絶。同性カップルの権利の制限や、トランスジェンダーを支援する措置などの禁止を提唱してきました。
さらに多くの国で女性の権利が危機にさらされ、DEIに逆行するような状況が続くなか、国連のグテーレス事務総長は、危機感を持ってこう呼びかけたのです。

国連・グテーレス事務総長(3月7日)
「愛国主義と女性蔑視が主流になろうとしている。進歩が逆戻りするのを黙認するわけにはいかない。私たちは反撃しなければならない」
アメリカを起点に、世界的に後退が危惧されるDEI。その背景を、ジェンダー法に詳しい谷口真由美さんは次のように解説します。

ビジネスと人権研究所 谷口真由美 代表理事
「トランプ氏の支持基盤、いわゆるラストベルトと言われるところの白人男性たちが、DEIが進むことによって自分たちのパイが奪われたというか、割を食っているという意識の中には元々俺らのものだというのがある。自分たちの席を奪ったのはマイノリティの人たちだと。結局弱い者に対するバッシングというのに、何かあったときには矛先が向きやすい」
では、こうした流れのなかで、日本はどうなのでしょうか。谷口さんは「日本の場合はさらに憂慮すべき状況にある」といいます。

ビジネスと人権研究所 谷口真由美 代表理事
「日本の場合はまだ何も(DEIを)やってないというのが現状。女性活躍推進法というのが今年(25年)に改正される予定。女性役員の数、女性の国会議員の数とか、10年経ってもあまり女性が置かれている立場の数値が変わっていない。
数としてはマジョリティ(多数者)である女の人すら活躍できない社会においては、いわんや他のマイノリティ(少数者)はもっと活躍できない。やはり景色を変えていくために今までその場にいなかった人たちを入れるのはDEIの大事なところ」