「相互送客」から生まれた140億円
総事業費は約285.7億円。「建設はギリギリのタイミングだった。工事はコロナ禍でスタートし、ウクライナとロシアの戦争が資材高騰に拍車をかけた」と広島市の藤川由美スタジアム調整担当課長は振り返る。結果として、当初より建設費は上がったという。

事業主体は広島市、そこに久保会長をはじめ、広島の財界や市民などから合わせて約77億円もの寄付が集まり、建設費用に充てられた。まさに、広島の力を結集して作り上げた「みんなで作ったスタジアム」(藤川担当課長)なのだ。
ピースウイングの誕生によって、広島の街に変化が生まれた。
スタジアムから徒歩圏内にあるJR横川駅近くの商店街では、人の流れが変わったという。試合日には、サンフレッチェはもちろん、相手クラブのユニホームを着た人たちも多く見かけるようになり、関係者は「時間帯によっては倍くらいになったんじゃないかと思うくらい」と驚く。飲食店を営む女性は「お店に入られる姿もよく見られるようになったし、本当におかげさま、いいことばっかり」と笑う。
開場1年ですでに140億円を超える経済効果があったという試算もある。「相互送客というか、サッカーを楽しみ、その後は広島の街で、美味しいものを食べたりとか、副産物的なものはどんどん生まれやすくなっている」(森重部長)
最も変化があったといえるのが、平日夜開催のゲームだろう。