深海を思わせるような美しい沖縄の色―。「リュウキュウアイ(琉球藍)」です。

主に徳島県や北海道が有名な藍染めは、日本特有の「タデアイ(蓼藍)」が原料ですが、沖縄の藍染めに使用される「リュウキュウアイ」は主にインドや中国が原産で、国内ではほぼ沖縄県でしか栽培されていません。収穫した葉から抽出した「泥藍」に、水・泡盛・水あめを加えて発酵させ染料を作るのが特徴です。

そのリュウキュウアイに染められた…水牛の骨に、スニーカー!?

一風変わった作品が話題を呼んでいるのは、豊見城市の工芸の杜に工房を構える「琉球藍研究所」。10年前、県内のファッションブランド「レキオ」の代表でもある嘉数義成さんが始めました。

▼琉球藍研究所 嘉数義成 代表「沖縄で(ファッションブランドを)やる上では沖縄で何か形にできるものっていうのを、という時に藍染めが入ってきたのでそこからですかね」

自身のブランドに琉球藍を取り入れたいー。そう思い立ち、動き出した嘉数さん。
糸を藍で染め織物にする伝統的な方法ではなく、自身がデザインした衣服を“丸々”琉球藍で染める方法を目指しました。

しかし、そのスタイルを貫くにはかなりの量のリュウキュウアイが必要。後継者不足などにより生産が安定していないなど、沖縄の琉球藍が置かれる現状に直面しました。

▼琉球藍研究所 嘉数義成 代表「(藍染めを)やりたいとなってもなかなかできなかったので、それを形にしようと意地になってた部分はあると思います」

そこで嘉数さんらは、なんと畑の開墾から始め、リュウキュウアイを独学で育て始めました。5年が経った頃から、やっと服を染められるほどの量が採れるようになり、今や年間15t~16tの藍を収穫できるほどになりました。

東京などでアパレル経験もある奥間康司さんと東恩納昭太さんも加わり、現在は3人を中心に栽培から染めまでの工程すべてを担っています。

いずれは琉球藍を世界に広め、沖縄の産業にしたいという嘉数さん。その行く先にはまだまだ壁が立ちはだかっています。

▼琉球藍研究所 嘉数義成 代表「やんばるで畑やってるんですけど、そのやんばる3村に大雨の被害があって、農業の部分でのその自然との関わりというのは結構難しいですね。それを乗り越えて原料を作れるようになりましたってなっても、今度は技術の問題になってくるんですね。どうしても人材の問題だったりだとか、人の技術に依存するものなので量産に限界がある。でもそこに面白みがあると思っている」

栽培が軌道に乗ったかと思った矢先の去年11月、大雨の被害に遭いました。大宜味村にある畑に植えていたリュウキュウアイは、雨が上がったころにはすべてなくなっていました。