広瀬すずとの出会い――衣装選びのこだわり

丸山氏が広瀬すずと最初に仕事をしたのは、ある雑誌の撮影だった。

「情報誌でレギュラーを担当していたときに、すずちゃんがゲストで来てくれたのが最初です。表紙と中ページの撮影でしたね」。それ以来、広瀬のスタイリングを手がける機会が増え、今回のドラマでも衣装を担当することになった。

特に、ダッフルコートの選択は印象的だったようだ。もともとはプレーンなタイプを想定していたが、現場での試着を経て、よりデザイン性のあるコートが選ばれたという。

「すずちゃんは衣装についてアイデアを出してくれることもありますが、今回はわりとお任せしてもらえました。ただ、コートに関してはフィッティングの段階で『このコートいいですね』と言って、監督とも意見が一致したこともあり、最終的に今の形に落ち着きました。トグルのデザインが入っているので、少し可愛らしさがプラスされたのも良かったですね」。

また、番組宣伝の際に広瀬が着ていた「“クジャクっぽい”衣装」 もSNSなどでも話題になった。「あれは本当にミラクルでした。たまたまリースで見つけたアイテムが、まさにクジャクの羽を思わせるような柄だったんです。すずちゃんも『すごいクジャクじゃん!』って笑っていましたね」。

“好き”を信じることが強みに

本作は「信じること」がテーマのひとつになっているが、丸山氏自身もまた、スタイリストとして「信じること」を大切にしているという。

「何に対しても“好き”を信じることが大事だと思います。好きなものを追求することで、それがやがて自分の強みになると感じています」。

丸山氏のスタイリングには、彼自身が影響を受けてきた音楽やカルチャーが色濃く反映されている。「例えば、僕はイギリスのサブカルチャーが好きで、音楽やファッションのテイストも自然とそちらに寄っていく。意識して作り込んでいるわけではなく、ただ好きなものを突き詰めていった結果、それが自分のスタイルになったんです」。

自身の「好き」を信じ、それを貫くことが、スタイリストとしての独自性を生む——。その信念が、彼の手がけるスタイリングの1つひとつに宿っている。