岩手県大船渡市の山林火災はきょう、全ての避難指示が解除されました。住宅などの被害が明らかになる中、あす14年を迎える東日本大震災との「二重被災」の状況が浮き彫りになっています。

大船渡市はきょう午前10時、三陸町綾里と赤崎町の3つの地域、合わせて2424人に出されていた避難指示を解除しました。

今回の山林火災によって、きのう現在、住宅102棟、漁業の資材小屋など住宅以外の建物108棟で被害が確認されています。このうち42棟が被害に遭った三陸町綾里の港地域。東川剛さんは家族5人で暮らしていた家が全焼しました。

東川剛さん
「正直なところ、心のどこかで燃えないっていうのがあった分、やっぱりショックは大きいです」

今は親戚が所有する空き家に身を寄せていますが、今後のことは何も決まっていないといいます。

東川剛さん
「亡くなった義父が頑張って建てた家で、土地ですから、ここに再建したいと思っています」

市は被災した住民のための応急仮設住宅の建設に向け、県と調整を進めています。

大船渡市は、あす発生から14年を迎える東日本大震災の被災地の一つです。震災関連死を含め市民400人あまりが犠牲となり、6000棟近い建物の被害に加え、産業が打撃を受けました。

三陸町綾里も例外ではなく、当時、津波でアワビの養殖施設が被災した会社は、今回の山林火災で再び被害に遭いました。養殖していたアワビが全て駄目になったということです。

こうした二重被災の状況を受け、市は一刻も早い鎮火とともに、住民と事業者への支援を急ぐ方針です。

全ての避難指示が解除され、被害の状況が徐々に明らかになる中、市は今月14日、住民からの、り災証明書の申請受け付けを開始します。