IT駆使で激安価格を実現した「トライアル」 ディスカウント店の“異端児” 

福岡に本拠を置くディスカウントスーパーマーケット「トライアル」。どんなグループか改めて見てみる。トライアルの売上高は24期連続で増収。2024年は7179億円で、来期は8000億円を超える見込みとなっている。

そして店舗数もここ10年で倍以上増えている。2024年9月末時点で327店舗となっており、最も多いのが九州の127店舗、北海道でも30店舗、関東で57店舗と全国36道府県で展開している。

――レジカートの「タブレット付き」というのは、レジのために考えたのではなく、元々は店内を買い物中にクーポンが来るようにタブレットをつけた。それだけだと客がカートを使ってくれないので、レジ機能をつけたら使うようになった。クーポンは、夜中などにアプリに届いただけなら、見逃したり、忘れやすいが、現場にいて、商品が目の前にあるときにクーポンが来ると、効果が違う。

早稲田大学ビジネススクール 教授 入山章栄氏:
確かに違う。小売りという比較的、労働集約的でアナログなところに、デジタルテクノロジーを組み合わせることを「リテールテック」というが、まさに日本の先駆けの会社の一つだ。

トライアルはAmazonが出てきても強いといわれる、アメリカ最強の小売り「ウォルマート」をかなり参考にしてると聞いている。確かにウォルマートぽい。ウォルマートというのは実はものすごいデジタルの会社で、デジタルを組み入れているから強い。それを日本流にアレンジして、すごくきめ細かいデジタルを入れているという印象を持った。

「技術」についてまとめてみた。「レジカート」。それから店内中に「デジタルサイネージ」があって売り場ごとに変えたり「今唐揚げ出来立て」と打ったり、広告媒体としても売っている。もうテレビの強敵になっている。それから、「AIカメラ」があちこちにあって、在庫の管理や場合によってはその在庫の状況を見て値づけを自動的に変えることも技術的には可能。そして「顔認証レジ」がある。

――デジタル技術を生かすことによって、コスト削減ができるということか。

早稲田大学ビジネススクール 教授 入山章栄氏:
日本にとって、これは本当にチャンス。なぜかというと、人口が減るから。今は労働力不足。特にトライアルが出店している地方は本当に人手が足りない。だからむしろこういうところにデジタルを入れることで、一見最初のコストはかかってるように見えるが、長い目で見ると、圧倒的にコストも抑えられるし、人手不足問題も解消できる。

――人手不足に対応するためのサステナブルな店作りという面もある。あと、食品ロスなども問題もデジタル技術を使ってうまく管理すれば、最小化できると。これもサステナブルな店作りだと言っていた。

早稲田大学ビジネススクール 教授 入山章栄氏:
流通小売りは、まだまだ無駄が多い。今までアナログだったので無駄が取れなかったが、AIとか、需要に応じて価格を変えるダイナミックプライシングとか、そういうことをどんどん入れることで、様々な小売り部分の無駄を取っていこうということだと思う。もう一つは、スマートフォンの中だけで買い物をするよりも、人はリアルのお店にも行きたい。そこに人が集まるから、そこにテクノロジーを入れて、リアルの現場でお客さんが楽しく買い物できる。そこに広告を載せて、場所そのものがメディアになっていく。

――「非計画購買」が刺激されて、お買い物も楽しくなるという、まさに「デジタル」と「リアル」融合の実験が行われている。

(BS-TBS『Bizスクエア』 11月23日放送より)