福岡を「日本のシリコンバレー」に。トライアルが挑む「流通情報革命」

こうしたコストを企業の垣根を越えたDX化で削減する――。そんな壮大なプロジェクトが今、トライアルが中心となり福岡県で進められている。福岡県・宮若(みやわか)市。トライアルグループのリテールDX開発拠点だ。

廃校を利用した施設の中にはメーカーや物流会社など様々な企業の看板が並ぶ。宮若市でのプロジェクトには約50社が参加し、トライアルが今まで集めてきた(購買)データを使って、各社の分析をしてもらい、客の新たなニーズを発見したり、それによって商品開発につなげたり、マーケティング活動に使ってもらっている。

この日、打ち合わせをしていたのは花王とサントリー。両社が進めていたのは、トライアルが持つ匿名化された購買データを基にした、効果的な販売促進。実際にサントリーの「ほろよい」などを購入した客に、花王のハンドクリームのクーポンが、トライアルのレジカートで提供された。同じ客層をターゲットにした戦略だ。

花王グループ カスタマーマーケティング株式会社 浮田弘明さん:
なかなか関わることのない業界で、データも(普段は)見ることがないが、今回、「データ相関性が高い」というデータも見ることができたので、今回(コラボの)実現にいたった。

業界の垣根を越えて、生産性を高めていく――。それがトライアルの目指す「流通情報革命」だと永田取締役は話す。

トライアルホールディングス 永田洋幸取締役:
みんなで一緒にあれやこれや実験をやっていこうと。取引ではなくて、流通全体を変える「流通情報革命」をつくるための取り組みを進めている。

――トライアルにとっては、貴重な生データを第三者に共有することになるが、抵抗感はないのか。

トライアルホールディングス 永田洋幸取締役:
競合でもあるが、そこを言うとアメリカのシリコンバレーで起きたようなイノベーション(変革)は起きない。データDXの中で、あくまでもB to C(企業→消費者)のお客様だけではなく、メーカー・製造(会社)まで踏まえたB to B to CのDX(デジタルトランスフォーメーション)を考えていかないと、この5年後10年後、流通業は生き残れないと考えている。