業績不調のセブン&アイで井阪隆一社長の退任が決まりました。日本最大の流通企業に何が起きているのでしょうか。

穏やかな表情のセブン&アイ、井阪社長。昨夜、JNNの取材に9年務めたトップの座から退くことを「決心していた」と語っていました。

セブン&アイHD 井阪隆一 社長
「行って参ります」

向かったのは退任が決議されるセブン&アイ本社での取締役会です。

さかのぼること9年。セブンーイレブンの社長だった井阪氏は“日本のコンビニ・産みの親”と呼ばれる鈴木敏文氏の後任としてグループ全体のトップに就任。

井阪隆一 社長(2016年)
「100日間ちょっと時間をいただき、しっかり目配りをしながら舵取りをしていきたいと思っております」

不採算事業の整理と業績アップを期待されていましたが…、業績不振の百貨店「そごう・西武」の売却に6年、足を引っ張っていたグループ発祥の「イトーヨーカ堂」の売却判断には8年かかり、その間、2000億円近い巨額の最終赤字を積み重ねました。

セブン幹部
「遅いという指摘があがっている」

そして頼みの綱であるコンビニ事業でも。


「最近若干(値段)高いなという感覚はあるので、こうやって安くなっているとうれしいなって」

物価高対策として去年低価格帯の商品を広げた「うれしい値!」をスタートしましたが、コストを吸収しきれず結局、一部を値上げ。

混迷続きのなか、攻めてきたのがカナダのコンビニ大手でした。

井阪隆一 社長(去年10月)
「アリマンタシォンクシュタール社からの提案など株主の皆さんも含む、全てのステークホルダーの皆様にいろいろとご心配をおかけしているものと存じます」

7兆円規模の買収提案への実質的な防衛策として創業家を軸に自社を買収する計画を進めたものの、資金集めの難航で頓挫。この先、どんな道筋を描けるのか、流通業界の専門家は…

岡三証券 金森淳一シニアアナリスト
「クシュタール以上のプレミアムをつけられるような魅力的な成長のシナリオを自主独立でやっていった場合にバラ色の未来がありますよという提案ができるのかどうかが、すごく大きなポイントになってくる」

新たに舵を取るのは西友などのトップ経験があるスティーブン・デイカス氏です。

初の外国人社長のもと「独立路線」を継続できるのか。巨大流通企業が岐路に立たされています。