梶原:権力を持つ者がいろいろなことをやる。それに対して「それは間違っている」「そんなことはしてはいけない」と思えることには、ちゃんと「反対だ」という声をあげましょう。反対の声をあげない人は、おのずから賛成したことにされてしまう。「反対だ」と声を出し態度で示した人だけが、反対の人だとカウントされる。それ以外の人は全部賛成したんだ、と数えられる。
神戸:誰かが言わなければ、反対した人がいたことにならないわけですね?

梶原:そうなんですね。実際に、政府がやろうとしていることについて、反対の行動を取ったり声をあげたりする人は、常に全体の中ではやっぱり一部です。黙っている人と反対の声を上げてるのと、どっちが多いかと言えば、黙ってる人の方が多いわけですから。「声なき人の声を聴く」とすれば、どんな悪いことでも政治はやれる。とてもずるいやり方だと思いますけど、ずっとそれで来ていますよね。
梶原さんは「声を上げていないと、全員賛成だとカウントされてしまうんだ」と言っています。だから「こんな少人数で座り込みをして何の意味があるのか」と言われても、みんなの代わりに来て「反対している人がいる」ということは示しておく必要があるんです。梶原さんたちがいなくなった後、示せなくなったらどうするのか? ということは気になっているようでしたが。
沖縄に関しても、同じことが言えると思います。できる範囲で、トラックが来るところに合わせて座り込みをするというのも、年配の人が多いというのも、仕方のないことです。そこを揶揄するのは無神経だろう、と思うんですね。「本土そのもの」からの意見と言ってもいいかもしれません。本当に「沖縄の皆さんに本土からごめんなさい」と言いたいんです。
◆歴史の面からも「ごめんなさい」
沖縄に関しては、本土に生まれた者として、個人的に謝りたいことがいっぱいあるんです。
【現代】
・東村高江の牧草地に、アメリカ海兵隊の大型輸送ヘリが不時着・炎上した事故(2017年10月11日)から、きょうでちょうどで5年。それに昨日気づいたんです。すっかり忘れていて、ごめんなさい。
・ヘリパッド建設現場に通じるゲートで、フェンスを挟んで工事に抗議していた反対派の人たちに向かって、警備の応援に来た機動隊員が「土人が」とか「黙れ、こら、シナ人」とか、ひどい言葉を言ってしまってごめんなさい。
・1995年に集団強姦されてしまった12歳の少女。今はどうしているのでしょうか。気になっています。本当にごめんなさい。
・日本各地の基地を撤去させたけど、実は米軍占領下の沖縄に移されただけでした。福岡からも、そう。自分たちの目の前から基地がなくなったことだけで喜んでいて、ごめんなさい。
・沖縄に基地を押し付けたくせに、本土に基地を引き取ることもせず、ごめんなさい。

【沖縄戦】
・沖縄戦の不発弾が、まだいっぱい埋まったままになっていますね。糸満市の土木工事中にショベルの先端が不発弾に当たって爆発に巻き込まれた作業員の方、ごめんなさい。
・沖縄は、本土決戦の前に、時間稼ぎするための「捨て石」と位置付けられました。沖縄守備軍が住民ごと南部に避難したことで、多くの民間人を戦闘に巻き込んでしまって、本当にごめんなさい。
・北部の伊江島では100人を超す人が集団自決に追いやられました。降伏するくらいなら死ぬべきだという、軍の指導・命令があったからです。親に手をかけられた子供たち、悲しかったね。痛かったね。母親の命を奪った息子たち。つらかったね。本当にごめんなさい。