学生の“海外意欲” 日本は低水準…一体なぜ?

小川彩佳キャスター:
もちろん海外に行くことが全てではないんですけれど、そこにハードルがあるとしたらどんなことでしょうか。

藤森祥平キャスター:
データを交えて見ていきましょう。海外の大学について、イギリスの教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」が発表している「世界の大学ランキング」です。このランキングは教育環境や研究の質などをもとに作っているものです。

【世界の大学ランキング(2025年)】
1位:オックスフォード大学(イギリス)
2位:マサチューセッツ工科大学(アメリカ)
3位:ハーバード大学(アメリカ)
12位:清華大学(中国)
13位:北京大学(中国)
17位:シンガポール大学(シンガポール)
28位:東京大学(日本)

日本からは東京大学が28位にランクインしていますが、他の大学の中でアジア勢がトップ10に迫る勢いで順位を上げています。

株式会社 QuizKnock CEO 伊沢拓司さん:
これは大学の評判という指標が30%程度入っています。これは各学問ジャンルにおけるアンケートのような形で各教授が答えるので、大学全体の評価に繋がらない。あとは「研究の質」という指標がありますが、これは英語圏がだいぶ有利になってきます。シンガポールなどは英語を使う学生が多いので多少は有利になるでしょう。

こういった背景があるので、このランキングを見るべきというよりは、各ジャンルでの指標をどれだけ見るかを重視するよう内閣府も指標として出しています。とはいえ、母国語で学べるというのが日本の良さではあると思います。

また、海外に比べると日本はとても大学への寄付が少なく、OBが寄付する文化があってもできてない。「寄付で次世代の学生を育て、その学生が寄付した人の企業に入る」という流れが海外ではよく行われており、大学が育つ仕組みになっていると思います。

日本の大学は資産運用なども限られた範囲でしか認められてないので、大学の質を評価する前に、まず制度を変えなければいけない気がします。

藤森キャスター:
一方、留学について文科省のデータがあります。

【大学生等の留学生数 推移(2022年)】
日本…約5万8000人(文部科学省「データでみる日本の留学」より)
韓国…約12万4000人(韓国教育部HPより)

コロナの影響などで一時減少した数ではあるものの、他の国に比べ人口の規模の違いはあれど、日本は少ない水準であることがわかります。

小川彩佳キャスター:
海外を目指す学生が増えないのは、どのような事が背景にあると思いますか?

トラウデン直美さん:
今の学生は早い段階からインターンや就職活動を始めていて、「すぐに社会に出て働く」ということが念頭にあるように感じています。だからこそ、明確な目的や強い意志がないと、「1年卒業を遅らせてまで留学をするのか?」という感じになってしまっているように思います。

「海外での経験をするために留学したい」というライトな理由が、昔より減ってるのかもしれないと感じています。そこには経済的な部分や、円安の影響があるのかなと思います。